マチュピチュ観光のこと【1/14】

  • ナキ

 確かに歩き難い。
急斜面と、半分崩れた階段。
それも山の天然石。
雨に濡れると滑りやすい。
プラス、高地。
「クスコ」よりは楽だけど、やっぱ空気が薄い。
何となく、息苦しいような・・・。
 ま、でも、そこそこの体力はある。
ヒト並み以上だと自負してる。
かつて、ドカチンや解体屋で鍛えた身体である。
嫁さんも、ヒト並み以上。
こっちは現役アスリートである。

「まっかしょ〜っ!
ダテに毎日ジムに通ってんじゃないわよっ!」

っと心強い。
 ってんで、我々は最後尾。
一応、全体を見るっくらいのゆとりはある。
後期高齢者のご夫妻は涼しい顔。
群馬の農夫も全然平気。
横浜の団塊ジュニアだって、まだまだ若い。
問題は、「女将」とその連れ。
つらそう・・・。
 歩き方がヘロヘロ。
遅れだした。
遂にナキが入った。

「先に行ってください・・・」

先頭の「赤井さん」達に信号を送る。

”バツっ!”

ま、予想通り・・・。

  • 放棄

 ちょいと広い場所があった。
一同、そこで小休止。
新潟の「N村さん」ちは立ち止まらない。
そこいら辺をウロウロ。
写真に収める花を物色してる。
他のヒトも付き合う。
きっと、みんな思ってる・・・。

”しょーがねーなー。これっくらいの山道で・・・。”

 「女将」とその連れは息も絶え絶え・・・。
お育ちがいいんだべな・・・。
目もちょっとイッてる。
あの、空港で見た時の目になってる。

”あべっ!ちょっとパニくり気味かも・・・。”

 「女将」のカッパがちょっと長かった。
カッパが長いのか、「女将」が小っちぇえのか・・・。
いずれにしても、危にゃあ。
山道で裾を踏んで、コケる恐れがある。

「このカッパあかんわっ!暑いっ!しんどいっ!大体長すぎて、もう要らんわっ!」

いきなり脱いだ。
そのまま、山道に放り投げた。
一同、固まる・・・。