珍しくもない本の雑感60(1)

 【男たちへ】

  • 以心伝心

 去年の暮れにこの本を読んだ。
「七生おばさん」である。
タイトルは「男たちへ」
サブタイトルは「フツウの男をフツウでない男にするための54章」
っと大上段である。
 前から気にはなってた。
”ヤに、挑戦的な本だなあ・・・。”
よしゃ、一発気合入れて、読んでみっか!
っと思った頃に、この本がプレゼントで届いた。
”えっ?ウソ?以心伝心・・・?”

  • 休憩

 実は、第1章を読んで、休憩に入った。
3ヶ月ほど経ってから、また続きを読んだんである。
第1章は「頭の良い男について」
「七生おばさん」の「頭に良い男」に定義はこーである。

なにごとも自らの頭で考え、それにもとづいて判断をくだし、ために偏見にとらわれず、なにかの主義主張にこり固まった人々に比べて柔軟性に富み、それでいて鋭く深い洞察力を持つ男

 いるか!そんな男・・・?
いるそうな。
「七生おばさん」は「丹波哲郎」をあげてた。
役者の真髄、作家の創作活動のキモをズバリと言い放つ。
そんな霊界からの使者だったらしい・・・。

 「丹波哲郎」のコメントが引用されてた。

俺だって、好む演出家と好まない演出家がいる。
演出家で嫌いなタイプは、弱い物いじめをするやつと、必要もないのに動物を殺すやつ。
「豚と軍艦」という映画は好きだったけれど、監督は嫌いになった。
最後のところで、波打ち際に仔犬の死骸が5、6匹浮いてるシーンがある。
それを撮る時、今まで飼っていた犬をわざわざ注射で殺して水につけた。
生きている犬が死んでいく過程だったら、それもやむをえなかったかもしれないが、死んでいるところだけなら、オモチャの仔犬を水につけたって同じことなんです。

塩野七生の感想 ― ここには、頭の悪い男たちの考える類の芸術至上主義に対する、健全な常識人の側からの見事な平手打ちがある。
頭の良い男、丹波哲郎に乾杯!

  • 戦慄

 戦慄が走った。
「頭の良い男」だぁ?
ど〜こ〜がぁ〜じゃあ〜っ!
血圧が上がっちゃう。
この映画の監督なんぞ、論外っ!
もし近くにこんなクズがにいたら、間違いなく八つ裂きだっ。
”生きている犬が死んでいく過程だったら、やむをえない”っだとぉ?
っざっけんじゃないっ!
たかがニンゲンの娯楽の為にそんな権利も資格もあるかっ!
思わず本を閉じてしまった・・・。