珍しくもない本の雑感64(4)

 【再び男たちへ】

  • コリント運河

 ちょうど1年前に観てきた。
ギリシャペロポネソス半島の付け根。
エーゲ海イオニア海をつなぐ運河である。
スエズやパナマに較べると、マイナーなイメージではある。
ギリシャに行くまで知らんかった。
 素朴な鉄橋がこの運河を跨いでいる。
観光客はその橋の上を歩ける。
鉄骨のすき間から、はるか下に運河が見える。
思わず下半身のチカラが抜けちゃう・・・。
高所恐怖症の向きにはちょーオススメ。
 「七生おばさん」この運河の成り立ちに詳しい。
何せ、大好きな「ユリウス・カエサル」が関係してる。
そりゃ、放っとけないべな・・・。

 この運河、発案はBC7世紀なんだとか。
当時、古代コリントはアテネと肩を並べる都市だったそうな。
でも、計画はすぐコケた。
コリントはマケドニアの支配下になった。
んで、又すぐにマケドニアもコケた。
BC2世紀にはローマの属領になっちゃった。
 かの「ユリウス・カエサル」も工事を再計画した。
悪名高い「皇帝ネロ」は着工までした。
でも、皇帝の死のたびに頓挫。
その後はローマの衰退で、それどころじゃなくなっちゃった。
運河が完成したのは1893年だとか・・・。
発案から何と2500年後だった。
世紀の大事業である。
やっぱ、技術より経済力と政治力なんだべな。

  • ODA

 そう言えば・・・。
スエズ運河は日本の技術で作ったんだべ。
トルコのボスフォラス海峡のつり橋も・・・。
香港の海底トンネルも・・・。
ピサの斜塔の修復も日本の技術だったような・・・。
 日本は技術力が高い・・・?
技術力を買われて、世界中から注文が殺到・・・?
ん〜〜ん・・・。
何か違うような・・・。
 ベトナムには”メイド・バイ・ジャパン”が沢山あった。
橋だとか高速道路だとか・・・。
現地ガイドが嬉しそうに言ってた。
「みんな、日本のODAのお陰ね」
フクザツだったなあ・・・。

  • 軽蔑

 多分、「七生おばさん」が一番言いたかった事。
それが、”軽蔑について”じゃないべか?
ここでも大好きな「マキアヴェッリ」の言葉を引用してる。

誰でも愛されたいと願う。だが、めざましい成果をあげた場合、愛されるよりも憎まれるほうが多くなる。なぜなら、人間は嫉妬するのが普通だからで、憎まれることは能力を認められたことの証明でもあるのだ。
 しかし、軽蔑は同列にはあつかえない。軽蔑は、能力を認めたうえでの評価ではない。能力を認めないことによって生まれる評価である。それゆえに、憎まれることはあっても軽蔑されることだけは絶対に避けねばならない。必ずや実害につながる。

何が言いたいか・・・?
世界の中で日本はどう見られているか?
分相応な役割を果たしているのか?
国家は軽蔑されたらおしまいよ。
「男たちへ」は、ホントは「日本へ」だったらしい。