「カルタゴ計画」のことⅢ
- 功名
連日の片付けである。
いちいち自分の中で熾烈な闘いがある。
葛藤の連続だ。
”え〜いっ！往生際が悪いっ！”
”目指せ！カルタゴっ！”
一番の難敵はカセットテープ。
ざっと３５０本あった。
大半が、レコード・ＣＤから録音したモンである。
一時、エアチェックに凝った時期もあった。
ヒマだったんだなあ・・・。
おっ！
すごいモンを見つけてしまった。
２０代の頃に演った即席バンドの演奏である。
「なっつかし〜っ！」
レアもん中のレアもんだべや。
早速、ＭＤに移す。
あの、こっ恥ずかしい場面が蘇えってくる。
ケガの功名ってヤツでんな・・・。
- セイシュン
ほろ苦い・・・。
でも、この苦さが美味い。
そんな感じかな・・・。
この、ドヘタクソな演奏を聴くとさすがにこっ恥ずかしい。
でも、何だか楽しい。
センシュンしてたんだなあ・・・。
何で、こんなテープがあるのか・・・？
会社勤めをして、まだ間もない頃である。
まだまだ、学生気分でチャラチャラしてた。
たまたま、同じ事業所に楽器をいじるヤツが集まっちゃった。
にわかに血が騒ぐ。
「ちょっと、バンドやってみっか？」
即席バンドの誕生である。
どこにでも、お調子モンってのはいる。
突然、得意先のクリスマスパーティで、演奏するハメになっちゃった。
お調子モンの担当者が請け負ってきちゃったんである。
その時の、担当者がテレコで録音したテープである。
あ〜、嬉し恥ずかし・・・。
- ＲＯＣＫ
本来はロック好きである。
ギラギラのハードロックが大好き。
んなんだけど、さすがに得意先のパーティである。
どんな路線がいいんだべ？
若い女性が多いと聞いた。
「よっしゃ、踊れる曲にすっぺ！」
「曲学阿世」ならぬ、「曲楽阿世」である。
でも、ウケた。
ドヘタクソでも、曲さえ良ければウケちゃう・・・。
プッスマみたいな・・・。
（怒られちゃうべな・・・）
このテープは、一服の清涼剤だった・・・。
- 心労
どうにか、片付けはメドがついた。
明日、業者が来ても大丈夫だべや・・・。
疲れたあ〜。
何より、ココロが疲れた。
夜中にうなされて、目が醒めちゃう・・・。
”もっと、もっと、捨てられるんじゃないのっ！”
”ひえ〜いっ！おでーかん様、あっしが悪うござんした〜っ！”
顔面麻痺が悪化した気がする・・・。
でも、少し慣れてきた。
かなりドライに思い切れるようになってきた。
ひと晩寝てから、更にもう一歩思い切れるなんて事もある。
この調子なら、”ホテル生活”も夢じゃない。
それにしても、嫁さんの片付け上手には感服。
モノの見事に、何も残さずに処分できる。
「何もない」状態を作る名人かも・・・。
ホントは、銀行口座だけは勘弁して欲しいんだけど・・・。
