挨拶の雑感14

 はや、霜降である。
晩秋になり、冷たい霜が降りる頃。
初霜が見られ、紅葉も山から里に降り始める。
まだ、そこまで季節は進んでないべな。
でも、ソウコウする内に冬が来る。(^^)
 お坊ちゃまと離れて半年。
身の回りの世界が一変してしまった。
何となく色あせてしまった。
季節は勝手にどんどん移って行く。
でも、周囲がモノトーンに感じられて仕方が無い・・・。
 それでも、やっと爽やかな季節になった。
思えばず〜っとジトジト濡れっ放しだったような気がする。
「菜種梅雨」から、「梅雨のパシリ」につながった。
そして「五月雨」が続いて、「長〜い梅雨」に突入。
夏らしい日が少なく、そのまま「秋の長雨」に・・・。
ようやく、家の中が乾いてきた気がする・・・。
気分的なモンだべか・・・。

  • 変化1

 我が家とは関係なく世界は回ってる。
ご町内の様子はいつもと何ら変わらない。
でも、大きく変わった事もあった。
挨拶である。
 このマンションは賃貸の方も多い。
結構、入れ替わりが激しい。
最近、ご近所の部屋に越して来た若夫婦。
これがなかなかである。
 見たところ、20代後半って感じかな・・・。
ジェネレーションY」って言われる世代だと思う。
団塊ジュニア」の次の世代である。
まだ、1歳にもなってなさそうな赤ん坊がいる。
 この家族の挨拶は秀逸である。
「こんにちはあ〜っ!」
にこやかに、如何にも親しげに、身体中で挨拶してくれる。
この挨拶の後では、どうしたってヒト言フタ言話したくなっちゃう。
長らく忘れていた挨拶を思い出させてくれた。

  • 変化2

 もう1組、記憶に残ってるご家族がいる。
これも最近、越して来たご家族だ。
ここんちはワンコがいる。
犬種は最近流行りの「トイ・プードル
 つい最近、ご対面した。
いつもの通り、マンション前の道路で”愛のラリー”をしてた。
マニアックな”ボレー&ボレー”である。
そこに、小っちゃな女の子が出て来た。
トイ・プードル」を連れて・・・。
 ワンコはめっちゃ、人懐っこい。
遊びたくってしょうがない風情で寄ってくる。
「あら〜、可愛いねえ。お名前は?」
「プーです」
思わず吹き出しちゃう。
一体、日本中にこの名前の「トイ・プードル」は何頭いることか・・・。
 ワンコはヒトをつなぐ。
すぐ、嫁さんは知り合いになっちゃったらしい。

  • 変化3

 その逆もある。
「ワリカマ」である。
このマンションに引っ越して来た当時から面識がある。
正確に言えば、こっちには”認識”がある。
あまりに不思議なその居振る舞いは、ヤでも記憶に残っちゃう。
 「ワリカマ」・・・。
「割り箸・蟷螂」の略である。
実に上手くその風貌を言い当ててると、嫁さんに誉められた。
光栄の極みである。
 引っ越して来た当時は当然、万人に挨拶した。
確かに迷惑そうに挨拶を返すヒトもいた。
ただ、唯一まったく無視だったのがこの「ワリカマ」だった。
そこに誰もいなかったがごとく、す〜っとすれ違う・・・。
しかもご丁寧に、そのダンナもまったく同じだった。
 世代的には「団塊ジュニア
この世代に特徴的なワザらしい。
何も見なかったことにしちゃう。
これが自然に出来ちゃうらしい。
電車の中で周りを「壁紙」と見立てて化粧するあのワザである。

  • 手のひら

 びっくりした事があった。
「ワリカマ」一族がワンコを飼った。
「ミニチュア・ダックス」の「ダロー」である。
急に手のひらが返った。
”肉離れ”でもしちゃうんじゃないか、心配になるほどだった。
 「まおちゃああああん。こんにちわあああ〜」
お坊ちゃまと散歩してると必ず駆け寄って来た。
「ダローはまおちゃんが大好きなんだもんねえ〜」
”何だ、こいつ?どっから声出してんだべ・・・?”
 確かに、お坊ちゃまは犬仲間が多かった。
ご近所のどのワンコとも仲良しだった。
あっちこっちで引っ掛かる。
ワンコ同士で遊ぶ間、すぐ四方山話に花が咲く。
その仲間に入りたかったのかな・・・?
でも、あまりの激変に思わず返す言葉を失ってしまった。
 思えば、目的はお坊ちゃまだけだった。
お坊ちゃまを連れていない時の反応はビミョーだったもん。
ニンゲンだけの場合は「壁紙」に戻ってた。
そして、お坊ちゃまがいなくなった今、完全に元に戻った。
まおちゃんのいない我が家には、何の用もない。
嫁さんと一緒に元通りの「壁紙」にされちゃったらしい・・・。