まおの食欲の雑感106

  • ボレー&ボレー

 近所でも評判になってるらしい。
ヘンな夫婦が道路でパコパコやってる。
それも妙に真剣ゼミである。
オチャラケの雰囲気じゃないとこがヘンである。
ヒトによっては”愛のラリー”と呼んでるとか・・・。
 マンション前の道路を我が物顔。
通りがかりのヒトはいい迷惑である。
いくら何でも、ヒトが通ればとりあえず中断する。
すると、早く通り過ぎなきゃいけない圧力を感じるらしい。
「中断させて、済みません・・・」
なあ〜んて謝るヒトまでいる。
 「いえ、かえって済みません・・・」
とりあえず謝り返したりする。
如何にもこの辺らしい人種なんである。

  • 「ウリ2つ」

 今日はちょっとしたサプライズが・・・。
いつものようにパコパコやってた。
そこにチャリンコが通りかかった。
前カゴにワンコを乗っけたおばさんだった。
 「あ、こんにちは〜」
嫁さんがいきなり挨拶する。
おばさんもチャリンコを止めて挨拶する。
嫁さんが早速、ワンコをいじくり回す。
「あら〜、チャリンコでお散歩なの〜っ」
 ワンコは何と「シーズー」だった。
それも、お坊ちゃまと「ウリ2つ」
濃いこげ茶と白のツートン。
色柄のつき方までそっくりである。
一瞬、声が出なかった・・・。

  • 小振り

 「ウリ2つ」なんだけど小振りだった。
名前は「ジョンくん」って言うとか・・・。
「小さいですねえ〜。何キロくらいですか?」
「ええ、3.6キロなんですよ。洗濯が楽でいいですよ」
お坊ちゃまは7kgっくらいあった。
ちょうど半分っくらいってか!
 「いやあ、良く似てますねえ・・・」
「そうですよね〜。まおちゃんとそっくりで・・・」
”おっ!お坊ちゃまを知ってるんだ。”
嫁さんとはよく会ってたらしい・・・。
 そう言えば、かすかな記憶が・・・。
ここに引っ越して来たばっかりの頃に見かけたかも・・・。
何ってったって、「まおさん」は土日だけだった。
平日は嫁さんの担当である。
圧倒的に、嫁さんはお知り合いが多い。

  • リアクション

 「まったく良く似てるわよねえ・・・」
「ホントに・・・」
おばさんがふと気づいたように言った。
「そう言えば、今日はまおちゃんは・・・?」
「まおちゃん、亡くなっちゃったんです」
 「え゛〜〜〜っ!」
「もう半年っくらいになるんですけど・・・」
「そんな・・・」
おばさん、目が点になってる。
「最近、どうも見かけないと思ったら・・・」
 急に「ジョンくん」が歪んできちゃった。
おばさん、焦ってる。
「そんな、トシだったんですか・・・?」
「ええ、14歳でしたからねえ・・・」
「そうですか・・・。ちっとも知らなくって・・・」
 おばさん、そそくさとチャリンコに乗る。
「それじゃ、どうも有難うございました・・・」
そりゃ、リアクションに困るよなあ・・・。
おばさん、しばらくこの道は通らないんじゃないべか?