トランジットのこと

 朝4:00「タシュケント」到着。
土砂降りの雨だった。
何だよ〜。
窓から見てるとトラックが近づいて来た。
っと思ったら、荷物を積み出した。
我が家のスーツケースも見えた。
ひょえ〜っ、雨ざらしで手積みかよ〜っ!
 ここは「シルクロードツアー」の拠点だという。
もちろん「ウズベキスタン」観光のヒトもいる。
結構多くのヒトがここで降りた。
どんな空港ターミナルなんだべ・・・?
ちょっと楽しみ・・・。
 「ちなみに、ここの空港は撮影禁止です」
「リツ子さん」から注意があった。
確かに人相の悪い兵士がウロウロしてる。
カメラなんか見つけられたら没収されそうだべさ。
上手く写さないと・・・。

  • ドア・ツー・ドア

 タラップを降りるとバスが数台待ってた。
「TBXのローマ行きはこちらへ!」
「リツ子さん」にくっ付いてバスに乗る。
バスはそのまま、別の飛行機の前に行っちゃった。
 相変わらず人相の悪い兵士がウロウロ・・・。
早く飛行機に乗れってな雰囲気である。
乗るっきゃないわな・・・。
結局、空港ターミナルには入れなかった。
「リツ子さん」の話では売店が1軒だけあるという。
ま、帰りの楽しみってこって・・・。
 5:40発、「HY-257便」はローマへ・・・。
これまた、所要時間は6時間50分。
ぴょえ〜っ!
またまた、飲んで寝るっきゃないべや・・・。

  • ドリンクサービスⅡ

 またまた飲み始めた。
「ビア、プリーズ!」
周りの客もいささかあきれ気味である。
今度は「アサヒ」はない。
ビンビールが出て来た。
その名も「AZIA」
何だか、カッコいいじゃん。
 早速、味見を・・・。
「っか〜っ!ちっくしょ〜っ!」
汗もかいていないのに、何故か美味い。
「何だかこのビール、美味いじゃん」
「意外にイケるねえ・・・」
 ソク、お代わり攻勢開始。
こっちの路線も客室乗務員の無愛想は変わらない。
凍ったロシア系が揃ってる。
会社の方針かね・・・。

  • 賭け

 「トゥーモア、ビア、プリーズ!」
相変わらずしぶとく飲ってる。
凍ったロシア系は無言でうなづいて去って行った。
嫁さんと話す。
「来ると思う?」
「う〜ん、あの顔は怪しいね・・・」
 やっぱ、シカトだった。
今んところ、確率は5割っくらいかな・・・。
持って来なきゃ、取りに行くまでである。
ヤな顔にもめげず、3〜4回お代わりしてやった。
ざまぁみんみん・・・。
でも、テキもさるもの・・・。
絶対に空きビンを下げに来ない・・・。
てんめえ〜・・・。

  • 失策

 1つ、失敗した。
ビールの飲み過ぎか、水が欲しくなった。
セコいプラコップじゃ面倒い。
ボルビックの空ボトルを手渡して頼んだ。
「フィルイット、ワラー、プリーズ!」
って言った積りだった。
凍ったロシア系は無表情ながらこっくりとうなづいた。
 空ボトルを手渡してから冷静に考えた。
”ホントに意思が通じたんだべか?”
嫁さんも同じ事を考えてたらしい。
「ボトルカバーを付けて渡した方が良かったかも・・・」
「う〜〜ん、びみょーだなあ・・・」
 案の定、水は来なかった。
多分、空ボトルもそのままゴミ箱行きだんべ。
「お気に入りのボトルだったのに・・・」
嫁さんに恨み言を言われただけに終わった。
てんめえ〜・・・。

 朝メシとも何とも言えない機内食が出た。
日本時間では朝の9時っ頃。
現地時間だと朝の5時ってところである。
今回は選択の余地は無かった。
無言でトレーが出て来た。
 瞬間的に嫁さんが叫ぶ。
「メエメエさんだっ!」
その嗅覚たるや、大したモンである。
メニューは「シチューとカレーのあいの子」みたいな・・・。
それに「ハムとチーズのオードブル」「トマト・キュウリのぶつ切りサラダ」
どうも食指が湧かんなあ・・・。
 こう言う時に、強い見方がいる。
「おにぎり」と「寿司」をしこたま持ってるもんね〜。
「ハムとチーズ」はそこそこ美味かった。
素朴な味で、十分つまみになった。
日本みたいに化学調味料だらけにする芸は無さそうだし・・・。
最後は「おにぎり」と「寿司」で仕上げ。
ぐっすり眠った・・・。

  • 絶景

 夜が明けて、窓からの景色がキレイである。
どこだかよくわかんないけど、雪を頂いた山脈が続く。
時々、砂漠や海らしきモノも現れる。
なかなか絶景である。
中央アジアから中東の景色なんだべなあ・・・。
 ローマが近づいて来た。
高度も下がって、緑が多くなって来た。
「フィミチーノ空港」が近づくと牧場が増えて来た。
何か家畜の群れも見える。
牛だんべか?
「ウシガラ」って可愛いんだよなあ・・・。
お坊ちゃまも肌が「ウシガラ」だったんだよなあ・・・。
・・・・・・・・。
 緑と黄色のコントラストもはっきりして来た。
牧草地と菜の花畑かな・・・?
「やっぱ、イタリアの景色はいいなあ・・・」
「ここで降ろしてもらおうか?」

  • 「ぷ〜」

 添乗員の「リツ子さん」が何度か廻って来る。
大きなファイルを抱えて1組ずつ声をかける。
次の行動の打ち合わせとか、ご機嫌伺いとか・・・。
なかなか大変な商売である。
 嫁さんが目ざとく写真を見つけた。
書類のファイルの隅にワンコの写真が挟んであった。
トイプードルの仔犬らしい。
名前は「ぷ〜」
安直でわかりやすい名前である。
まだ、1歳半っくらいだという。
そりゃ、めっちゃ可愛いべなあ・・・。
 仕事中、この顔を見ると癒されるんだそうだ。
ま、そ〜だべなあ・・・。
添乗の間はご主人とお留守番だとか・・・。
「ぷ〜」の話をしてる時は、格別に眼が輝いてる。
ワンコ好きは、みんなおんなじだあねえ・・・。
 複雑な気持ちで写真を眺めてた。
嫁さんがとうとうケータイを持ち出した。
お坊ちゃまの写真を見せて事情を話し始めた。
あべっ!
「リツ子さん」の眼に涙が浮かぶ・・・。
ヒトサマを巻き込んで、落涙大会が始まっちゃった・・・。
ほどなく「ローマ・フィミチーノ空港」に到着。
現地時間で9:30っ頃だった。