デンマーク人の暮らしぶりのこと

  • 「オペラ」

 「コペンハーゲン」の現地ガイドの話は秀逸だった。
特にヒトビトの生活に関する話が面白かった。
何となく、デンマーク人の暮らしぶりが見えてくる。
象徴的なのが「オペラ」の話だった。
 一般的に「オペラ」はカネがかかる。
ふつーに収益を考えたら、やっぱ3万円は下らないそうだ。
でも、デンマークでは最高の席で1万円。
大衆用に1,500円の席もあるそうだ。
もちろん、差額はすべて国の補助、つまり税金である。
これがプロレスとかじゃないとこがミソ。
如何にもって気がする・・・。

 デンマークには徴兵制があるそうだ。
衛兵交代を観た限りでは、あんまりきつくなさそうだけど・・・。
一応、軍事訓練はあるらしい。
期間は4ヶ月間とか・・・。
 いろんな説があるそうだ。
それっぽっちじゃ意味がない。
どうせなら他国並みに2〜3年にしたらいいべや。
カネの無駄だっという批判もあるらしい。
 でも、このやり方を変えない。
これは愛国心教育の一環として続けてるそうだ。
なあるへ・・・。

  • 医療

 病院は、日本で言えば「県立病院」が主体。
但し、人口が少ないので総合病院ってのはないそうだ。
各地に病院があっても専門化してる。
不便と言えば不便なんだけど、患者が少ないからしゃーない。
 緊急は別として、手術待ちは2ヶ月が限度。
それ以上待たされる場合は海外で手術を受けてもOK。
もちろん、全額国庫負担だそうだ。
 でも、この制度を利用するヒトはほとんどいないらしい。
何故か?
見舞いが大変だから・・・。
確かに・・・。
いくら手術料がタダでもねえ・・・。
 私立病院もあるそうだ。
でも、コストは軽く3倍かかる。
もっぱら企業がVIPの為に使うらしい。
民間医療保険に加入して、これでまかなう。
有能な従業員確保の為の手段として定着してるとか・・・。

 医療保険は2種類あるそうな。
「G(グループ)1」と「G2」って言うらしい。
「G1」は地域ドクター制度。
地域ごとに開業許可を与える。
1ドクター当たり、1,600〜1,700人を担当する。
 診療報酬は国からの基礎収入プラスアルファ。
治療内容に応じてポイントが加算される。
”土日はポイント倍づけ”っとかあるんだべか・・・?
地方では出来高払いのインセンティヴもあるらしい。
 「G2」はホームドクター制度。
こっちはホームドクターとして看板を上げる。
病院に10年以上勤務したドクターが資格を得る事が出来る。
 ホームドクターは患者のご指名。
その代わり、患者は治療費を一部自己負担する。
自由診療の色が濃いので、ドクターは勉強しないと大変。
薬代も出来るだけ安く上げなきゃなんない。
ちょっと高いと、すぐに批判の的になっちゃうらしい。
良く出来た仕組みである。

  • 「老人ホーム」

 今では「老人ホーム」って言わないそうだ。
もう、とっくの昔に死語になった。
かつては日本の「老人ホーム」のイメージだった。
病院の個室の延長線みたいな・・・。
 現代では普通の集合住宅の風情だそうだ。
終身の住まいとして、各戸が2部屋ずつある。
それぞれ表札を出してる。
市の職員だけがカギを共有してる。
定期的に巡回するそうだ。
 市内観光の途中で建物を見かけた。
街のど真ん中で、ふつーのマンション風である。
入居の順番待ちとかもないんだべな。
もちろん、入居時一時金とかはないべな。

  • 教育

 これも感心した。
小・中・高の学年数はわかんなかった。
でも、教育内容にまったく政府が干渉しないらしい。
教材は教師が選ぶ。
生徒に一番合ってる教材を探すんだそうだ。
 生徒を個人レベルで見るんだとか。
人種、環境、性格なんかがみんな違う。
1人1人の個性を重視するんだそうだ。
教材センターみたいなのがあって、それをサポートする。
 教育で一番重視してるのは個人。
それも”個人の責任”を徹底的に教えるそうだ。
ふえ〜〜っ。
これもヒトが少ないから出来るってことかな・・・?
 国際的学力調査でフィンランドが連続世界1だったとか・・・。
教育制度はやっぱ似てるらしい。
”競争主義・テストの排除”
”習熟度別学級編制の廃止・20人学級”
教科書検定廃止・教材選択の自由化”
”行政による教育専門家支援体制整備”
そして何より”大学まですべての教育が無償”
すべて真逆の国から見ると、夢のまた夢かな・・・。

  • 農業

 これは感心を通り越して羨ましかった。
農業は大変なこってある。
農業は国家資格が必要なんである。
大学5年間の勉強が義務づけられてるそうな・・・。
 一番、重視されてるのは”土壌汚染”。
デンマークは地下水をとっても大切にしている。
工業関係はもちろん、農業に対しても眼を光らせる。
ある程度の規模でないと許可されない。
「オーガニック野菜」「クスリを使わない豚」がウリモノだという。
 デンマークの食糧自給率は300%だという。
200%分は輸出される。
日本は主要な貿易国で、収支は完全に黒字だそうだ。
 北欧はどこも”野菜が美味いっ”って感じた。
道理である・・・。
農業を始め、食糧産業を大切にする・・・。
この安心感はナニモノにも替えがたいべな。
”しょうがねえ。百姓でもやるか”なんて国と訳が違う。

 何から何まで完成された仕組みである。
”衣・食・住”について心配する事なんか無さそうである。
”衣”も北欧のセンスは折り紙つき。
去年のバルトでもびっくりしたけど、やっぱ北欧のセンスはすごいっ!
ひょっとして、欧州大陸よりも上かも・・・。
 この完成された仕組みの下で暮らすヒトは幸せか・・・?
何も不自由なく暮らしてるんだべか・・・?
ノルウェーが5年連続”住みやすい国世界1”だと聞いた。
”住みやすい”=”幸せ”なんだべか?
残念ながら、ジモティの声を聞く機会はなかった。
 「コペンハーゲン」市内のゴミの山を見て思った。
みんな、街の美化は行政の仕事だって思ってるんだべな。
全部、国が面倒見てくれるって事の裏返しかな・・・。
「高度福祉社会」ってニンゲンを愚鈍にしやしないべか・・・?
緊張感を失っちゃうんじゃなかんべか・・・?