まおの食欲の雑感Ⅸ

  • 闘い

日々、闘いは続いている。
嫁さんはなかなか大変である。
基本的には食欲が無さそう・・・。
っと言うよりは喰いてゃあけんど喰えにゃあ・・・みたいな・・・。
何だか可哀想だ。
薬が効いている所為なのか好調な時もある。
以前の様に食卓におねだりに来る。
喰えるモノと喰えないモノがはっきりしている。
かと思えば急に喰えなくなったりもする。
また、その日によって喰えるモノが変わる。
喰えそうなモノは随分揃えた。
正統派のドライフードも数種類、鶏ササミも大量に仕入れた。
1缶330円の缶詰もインターネットで大量購入。
後は煮干や煮豆やチーズやカステラや・・・。
嫁さんの格闘の甲斐あってお坊ちゃまは全く痩せてない。

  • くすり

前回、病院に行って10日分の薬をもらって来た。
正確には買って来た。
安く無い。
中身はステロイドと利尿剤と抗生物質
血液検査で白血球数が増えていたので抗生物質が参加した。
これが苦いと見えてお坊ちゃまが抵抗する。
これも嫁さんは毎日格闘だ。
注射器のシリンジで強制的に飲ませる。
お坊ちゃまは抵抗して嫁さんの手を噛んでる。
ろくすっぽ歯が無いので危なくは無いが・・・。
大変だ。

並行して「アガリクス」も飲ませている。
病院の紹介で購入。
「アガペット」とか言うアンチョクな名前ではある。
1か月分で15,000円ほど。
なかなか良いお値段だ。
でも効いてくれれば通院費より安い。
購入したらすぐに電話が来たそうだ。
最初はちょっと多めに飲ませてくれとか・・・。
必ず食欲が出ますから是非続けてくれと力説したらしい。
しかも効果が無かったら料金をお返ししますとか。
大した自信と言うか、信用獲得のテクニックなのか・・・。
そして1週間後にまた電話が来たそうだ。
飼い主心理を上手く突いていると言えなくもない。
ワラをもすがる気持ちってのは分かる気がする。
病院の薬を全部飲んでからは暫く「アガリクス」だけにしてみた。

  • 強制給餌

アガリクス」だけで効いてくれたらオンの字だ。
ちっとも高くない。
が、現実はなかなか厳しい。
病院の薬を飲み終えて今日で5日目。
やっぱり調子はイマイチの様だ。
騙し騙し喰ってたモノも一切喰わなくなってしまった。
仕方なく嫁さんが強制給餌。
注射器シリンジに缶詰のフードを詰めて強制注入。
お坊ちゃまは激しく抵抗する。
格闘の末、多少は喰った様だが嫁さんは大変だ。
これじゃ身が持たんので病院に行った。

  • シェパード

「F沢動物病院」は結構混んでいた。
とりあえず嫁さんとお坊ちゃまは中に入って待つ。
運転手は駐車場のクルマの中で待っていた。
ふと見ると、ちょっと元気の無いシェパードがいた。
50がらみのオヤジが連れて病院から出て来た。
シェパードはのそのそ歩いていて、オヤジは足で押している。
何だ、あのオヤジは?
自分ちの愛犬を足で押すなんて・・・。
とか思って見ていた。
後から奥方らしきオバサンが出て来て一緒にクルマに載せて帰った。
程なく嫁さんとお坊ちゃまが戻って来た。
嫁さん曰く、
「シェパードを連れた夫婦が出て来なかった?」
「うん。見掛けた」
「あのシェパード、ガンなんだって」
「へえ」
「先生との会話がみんな聞こえるのよ」
「ふうん」
「先生がガンだって言ったらいきなり安楽死させてくれって言うのよ」
「何だ、そりゃ?」
「先生がそんな事言わずに抗癌剤で治療しましょうって言ってんの」
「そりゃそうだろ」
「奥さんの方はもういい、みたいな言い方で・・・」
「・・・」
「先生は食べられるんだから投与が出来ますって説得して・・・」
「ひっでえなあ・・・」
「ようやくダンナさんが納得して治療する事になったみたい」
「・・・考えられないけど、足で押してたしなあ・・・」
暗くなってしまった。

  • 診立て

今日も血液検査から始まった。
が、いつもとちょっと様子が違った。
アゴと脇の下のリンパ腺が腫れていると言う。
先生、光明を見出した。
「やっぱりこれでしたね」
見立ては「隠れリンパ腫」だろうと言う事だった。
4ヶ所のリンパ腺から細胞を取って検査に出すと言う。
過去の事例では検査のタイミングが難しいそうだ。
疑いの段階で細胞診をしても陰性が出てしまう事があるらしい。
何でも検査は国内では出来ず、検体を海外に送ると言う。
結果が分かるまで最低10日くらいかかるそうだ。
その間は投薬で様子を見ようと言う事だった。
又、ステロイドと利尿剤と強肝剤みたいなヤツを飲ませる。
嫁さんの格闘の日々は続く。
頭が下がる・・・。