シュスタニ遺跡観光のこと【1/17】

  • 転生

 アンデスの文化なんだべな。
山岳地帯には、こんな墓が多いそうな。
ペルーだけじゃにゃあ。
お隣のボリビア
南はチリの山岳地帯にもあるという。

「それにしても、4,000m・・・」

 【チュルパ】には共通点があった。
時代は違っても、必ず同じ。
それは「窓」だった。
必ず真東に小さな「窓」が造ってあった。
んで、6月21日。
冬至にはきっちり太陽が差し込むようになってたそうな。
 太陽が差し込む。
すると、生命がよみがえる。
再生すると考えられてたらしい。
【チュルパ】は転生の為の、墳墓だった。

「それにしたって、誰でも入れる訳じゃにゃあべ?
こんだけのモン造るにゃカネがかかるべ?」

至極、ふつーの疑問だべ。
 そーだったらしい。

「もちろん、それなりの地位の高いヒトしか入れませんでした。
んで、そのヒトは転生した時に寂しくないように、家族や家来を大勢道連れにしたと言われてます。
1つの【チュルパ】には30〜40人が入れられたとか・・・」

ってな解説があった。

「げっ!」

  • 静寂

 静かである。
まったく音のにゃあ世界。
ヒトの話し声も聞こえ難い。
空気が薄いせいかな。
耳が遠くなったような気がしちゃう。
ヒトの声があっという間に、雲散霧消・・・。
聞こえるのは、自分の荒い息だけ・・・。

「余計に息苦しくなるわいっ!」

 空の色がすぎゃあっ。
青って言うのとは、違う気がする。
うん。
間違いなく、この先は宇宙だっ!
そんな色だった。
光はむちゃくちゃ透明。
景色がすべてキラキラして見えちゃう。

「異次元の世界だよなあ・・・」

 いくつかの【チュルパ】を見て周った。
4,000mの山の上・・・。
静寂だけが支配する世界・・・。
草原に石塔が点在する。
ほとんどは崩れかけて、廃墟の様相。
もう、半分草に埋もれてるのもある。
野花が色を添える。

「やっぱ、最後にニンゲンが求めるのはこーゆー景色か・・・」