珍しくもない本の雑感48(4)

 【朝の論語

  • 「和」

子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同して和せず。

 「和」って言葉にもちょっとした想い出が・・・。
会社に入ったばっかりの頃、この言葉を良く耳にした。
先輩たちが好んで使ってた。
”組織で一番大切なのは「和」だ!”っとか、
”「和」を以って、尊しとなす!”っとか・・・。
そして、何かにつけて群れるのが好きだった。
 世代が関係してるのかも・・・。
総じて「団塊の世代」や、「団塊ジュニア世代」は「和」を好むような気がする。
「ポスト団塊」や「ジェネレーションY」はちょっと違う。
あまり群れたがらない。
「和」っと聞くたびに、「和して同ぜず・・・」っと思ってた。
「ポスト団塊」はこれがぴったりくる。
 子どもの頃から、個室を与えられて育った世代である。
「新人類」って言葉のハシリでもある。
良く言えば、主体性を重んじてる。
会社テキには扱い難い世代だんべな・・・。
でも、納得出来ない事は同じないけど、一応「和」は考えてた・・・。
 ところが、困ったモンである・・・。
若い頃は柔軟性があるから、「同じてなくても、和す」事が出来た。
加齢とともに、だんだんアタマが硬化してきた。
だんだん「同じないモンには和せなく」なってきた・・・。
これは、あまり芳しくない。
敵が出来ちゃう。
要注意である。
それっくらいなら、「附和雷同」の方が生き易いかも・・・。

  • 無道と有道

 「安岡会長」の話はグローバルだ。
インドの「ネール」やポルトガルの「サラザール」も出て来る。
フランスの「ドゴール」やドイツの「アデナウアー」も登場。
”この2人の美しい協調は「孔子」も称賛されるであらう”っと言ってる。
やっぱヒト次第、心掛け次第だという。
 「レーニン」「スターリン」「毛沢東」も出て来る。
彼らは政権樹立に成功したけど、人道的に大失敗したという。
それも、敢えてした・・・。
「殺を用ひ」て来た・・・。

李康子、政を孔子に問ひて曰く、如(も)し無道を殺して以て有道に就かば、如何と

これは、人類歴史に一貫して内在する心理にふれた問いなんだそうだ。
論語読み」がどれだけ良く読んだ事か・・・。
 「孔子」が言うように、人間が「殺」を去って善を欲しさえすればいい。
善を行ひさえすればいい。
何故、それが出来ないのか・・・?
この話には、会長もかなり熱が入ってた。

  • 「チムール」

 「チムール」(チンギスハーンの遠縁)も引用されてた。
彼は戦争というものを一身に象徴したヒトと言われるそうだ。
彼のやってのけたこと・・・。

  1. 1381年にイスファラーインを灰燼に帰す
  2. ザブザワールで2千人の捕虜を生き埋めにし、その上に5千の首を積上げて塔を建てた
  3. 次の戦いで、多くのルーリー人捕虜を断崖から投げ落とした
  4. イスバハンでは7万人を殺戮し、その骨で塔を建てた
  5. 1393年にはテクリートの戦いで砦の守備兵を皆殺しにし、その骨で塔を建てた
  6. 1398年にはデリーで10万人の捕虜を屠殺
  7. 1400年にはシヴァスの砦を占領し、4千人のキリスト教徒を生き埋めに
  8. 翌年、翌々年にシリアで20の頭蓋骨の塔を建てた
  9. バグダードでも大量虐殺して、骨の塔を建てた

 これは大昔の話である。
近代文明は、人間を向上させた。
20世紀は、過去の世界が夢想も出来なかったくらい進歩した。
人類にとっても救いになったはずである。

  • 世界大戦

 戦争なんてまったく無くなってしかるべき・・・。
それっくらい驚異的進歩の時代になった。
ってえな中で世界大戦が勃発した。
 フランスの哲学者「シャルル・リシェ」曰く・・・。

大戦で殺された者は1,500万人以上だ。死んだ者1人について、これを嘆く者が5人あるとしよう。それだけでもうその後何年間という間続く7,500万人の恐るべき悲しみとなるのだ。夫を失った若い妻、子どもを亡くした母親が、1年や2年、10年経っても慰められると、我々は考えることが出来るだろうか。(略)
その後の生活は色彩もない、悲惨である。(略)彼らにとって、一切の喜びは永久に消えてしまったのである。
これこそ人間の愚かさの極だ。(略)
この大戦は今更のように、世界の諸国民に深刻な教訓を与えた。これによって人間はどれだけ賢明になり、進歩することが出来たであろうか。
その答は何と、たった20年の後にまたぞろ1939年から1945年にかけての第二次世界大戦の勃発であった。この戦においてどういうことが行われたかは、もう今日言う必要もない。

 「安岡会長」はもっと長い引用をしてる。
孔子」の語に照らして、「反省感慨」をを真剣にしたいから、だそうだ。
でも、当世には通じない話だんべなあ・・・。
 個人的にはちょっと感じ入るモノがあった。
”その後の生活は色彩もない・・・。”
お坊ちゃまを亡くして、初めてそういう気持ちがわかった・・・。

  • 人と道

 ちょーちょー有名な語を1つ。

子曰く、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑はず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)ふ。七十にして心の欲する所に従うて、矩(のり)を踰(こ)えずと。

これは、「孔子」が弟子に語ると同時に、自らに向けた語だそうだ。
孔子」は常に自分に向かって語るヒトだった・・・。
 志す「学」はもちろん、単なる知識じゃあない。
真の自己を究明しようとする努力。
ヒトは如何にあるべきかの究明だそうだ。
子どもは3〜4歳の頃から道徳的感情が発達する。
6〜7歳になると大体性格の型が決まる。
だからそれまでに性格教育をしておかなきゃいかんざき。
 人間の本質は「徳性」だという。
ヒトの能力でもっとも大切なのは「知能」である。
でも、「徳性」に比べれば枝葉末節である。
人間の脳髄は3歳で大人の8割っくらいは出来ちゃうそうだ。
鉄は熱いうちに・・・ってこって・・・。
 ところで「徳性」って何か?
明朗、清潔、正直、同情、勇気、義侠、反省、忍耐・・・。
ってえことは絶滅危惧種じゃん・・・。
続きは又・・・。