「こまわりくん」のこと

  • 死刑

 トシがわかるけど、昔「ガキデカ」ってマンガがあった。
主役は「こまわりくん」
下膨れの何とも気色の悪い顔。
ランニングにネクタイ姿。
立派な警察官の帽子をかぶってる。
よくぞ、ここまで気味の悪いキャラが出来たモンだ。
当時、感心させられた・・・。
 得意の決めゼリフもあった。
「死刑っ!」
バレリーナ足で、尻を突き出して・・・。
ガッコへ行くと、みんながマネしてた。
「死刑っ!」「死刑っ!」
死刑の大安売り状態・・・。
何も知らない、考えてない、幸せな頃だった。

  • 母子殺入事件

 トシをとるってのはヤなモンである。
何も考えないで済む事がどんどん減ってく。
考えさせられる事ばっかり増えちゃう・・・。
 この事件も考えさせられたなあ・・・。
山ロ県光市の母子殺入事件である。
こないだ、最高裁の判決があった。
結果は二審の判決(無期懲役)破棄、審理差し戻し。
 もう、事件から7年以上も経ってしまった。
又、これから何年も時間がかかるんだべなあ・・・。
被害者の夫は延長戦に突入するんだ。
被告は更に数年、税金で喰わせることになる・・・。
本人がどう考えてるかはわかんないけど・・・。
この税金は活きるべか・・・?

  • 庶民感情

 当時の事は鮮明に覚えてる。
それっくらい衝撃的だった。
むごいなんてモンじゃない。
殺された母親にすがろうとする子どもまで殺した。
そのむごさが日本中を不快にした。
少なくともフツーの神経のヒトは不快だったべ。
 多分、この事件報道を見て誰でも同じ感情を持った。
”こんなヤツ、裁判も必要ない!”
”即刻、死刑にすべきだ!”
それがフツーの庶民感情だべさ。
 いろんな事を考えさせられる・・・。
小市民的には、こんな事があっちゃいかんざき。
被害者の遺族、被告、弁護士、検察官、裁判官・・・。
そして無責任な外野・・・。
それぞれが何を考え、どうすりゃいいのか?
立場が違うから難しいけどねえ・・・。

  • 被害者の夫

 被害者の夫は死刑を訴え続けた。
”犯罪被害者の権利向上のため・・・。”
この一心で、積極的にメディアに身をさらした。
一部、批判を受けることもあったらしい。
ま、無責任な外野ならあり得るべ・・・。
 あまりの惨事に、さぞ「心残り」も強烈だったべな・・・。

「何故、守ってやれなかったのか!」
「あの時、家にいれば・・・。」

 自分を責め続けて、自殺も考えたらしい。

「過去の判例では、殺されたのが2人では死刑にならない・・・。」
「じゃ、自分を含めて3人に数えて死刑にしてくれっ!」

気持ちはわかるなあ・・・。

  • 裁判官

 裁判官って仕事も大変だとは思う。
裁判官だってヒトの子じゃい。
別に聖人じゃないんである・・・。
最近のヒトの質の低下と無縁でいられるとは思えない。
 ヒトを裁くなんてヤな仕事だべさ。
やっぱ、ヤなモンはヤなんだべな・・・。

「特に酌量すべき事情がない限り、死刑の選択をするほかない」

当ったり前だべさ。
でも、何故最高裁自ら死刑判決を出さないんだべ・・・?
 被害者の夫は、判決には一応の評価をしてる。

「感謝している。ただ、無期懲役が妥当でないならば、自ら死刑判決を出して欲しかった。もう一度審査するのは遺族としては納得しがたい」

同感だよなあ・・・。
 裁判官も所詮はヒトの子・・・。
自分が死刑判決を出すのがヤなんだべな・・・。
手を汚したくないんだべなあ・・・。
 だったら、判決の時だけ「こまわりくん」を呼べばいい。
「死刑っ!」「死刑っ!」「死刑っ!」「死刑っ!」
連発してくれるぜ・・・。
続きは又・・・。