「こまわりくん」のことⅤ

  • ローマ時代

 「塩野七生」の本をよく読む。
ローマ時代の小説なんかめっちゃ面白い。
その情景が浮かんでくる。
まるでその時代を生きたヒトのようである。
「ヨ〜ダ」か・・・?
 当時の市民の生活ぶりも描かれる。
読んでると、現代とほとんど変わらない印象である。
ちゃんとしたルールもあった。
放置国家じゃなかった。
市民は法に守られて結構豊かに暮らしてたらしい。
強いて言えば、テレビとエアコンとクルマが無かったくらいか・・・。
 処刑もあった。
「こまわりくん」の出番は多かった。
「死刑っ!」
当時も吊るされるってのが多かったみたい・・・。
 2千年来、あんまり変わってないべ。
欧米の一部の国がちょっと変わった。
電気とか、クスリとか、ちょっと文明の利器が採用された。
大きく変わったのは「死刑廃止」の国だけだべな・・・。

 これも「塩野七生」の得意ワザである。
ホンットに面白い。
間違いなく、この時代を生きて来たとしか思えない。
きっと「ヨ〜ダ」だ。
 この時代の処刑の場面も良く登場する。
法がど〜たらこ〜たらってこっちゃない。
ほとんど、独裁者が法律だからやりたい放題である。
王様に歯向かったら終わりである。
「こまわりくん」もほとんど出番がない。
メニューは豊富だったらしい。
ま、よくもいろいろ残酷なことを考えるモンである。
 謀反を企てたモンは見せしめに処刑される。
馬につながれて、3日3晩街中を引き廻される。
歩ってる訳じゃない。
駆ける馬に引き摺られるのである。
 両手両足を4方向の馬につながれる事もあったとか・・・。
そして馬にムチを入れる。
その後は、同じように街中を引き廻す・・・。
ま、並べたらキリがない・・・。

 これは今でもあっちこっちで現役らしい。
特にイズラム圏では一大イベントになってるそうだ。
新聞に処刑が案内されると大騒ぎだとか・・・。
他に何の楽しみも無いんだべな・・・。
 会社の先輩で「不要っ!」辺りに出張したヒトがいた。
確かに新聞に公告されるそうだ。
そして、その日は街中の交通が麻痺してしまう。
公開処刑場に向かうクルマで大渋滞が起きるんだとか・・・。
 テロリストの常套手段にもなってる。
彼らに言わせりゃ、立派な処刑なんだべ。
南蛮刀で首を落として、それをNETで配信したりする。
爆弾仕掛けといて、ビデオ撮影したりもする。
ちょっと神経構造が違うらしい・・・。
でも、別にフツーに行われてるんだべな・・・。
あの界隈じゃ・・・。

  • 「ハット法令」

 これは「イズラム法」である。
聖典「ゴーラン」や、預言者「ムハンマト」の言行伝承で定められている。
人間が勝手に変えることは許されない。
ってのが、あの界隈のジョーシキらしい。
 特に有名なのがバキスタンの「ハット法令」
メニューもなかなかふるってる。

    1. 姦通    ・・・ムチ打ち刑・投石による死刑
    2. 姦通の中傷・・・ムチ打ち刑
    3. 飲酒    ・・・ムチ打ち刑
    4. 窃盗    ・・・手足の切断
    5. 追いはぎ  ・・・死刑など

 これは使えそうな気がするなあ・・・。
日本の「犯罪被害者等基本法」の改正時に取り入れたらいい。
被害者が選べる処刑メニューに使えないかな・・・。
 多分、バキスタンだけの話じゃないべ。
保守的イズラム国家の主流はみんなこれだんべ。
トルコとか、エジプトみたいな穏健なイズラム国家は別として・・・。
 「ハット法令」は79年に施行された。
天下に鳴り響く悪法と言われる。
そもそものキッカケが、77年の無血クーデター。
政権を握った時の大統領が、より保守的な政策を推し進めた。
「ハット法令」もその一環だったそうだ。
単に権力維持の為だった・・・。
ま、そんなトコだべな・・・。

  • 姦通罪

 ケッサクなのは姦通罪。
今のバキスタンはレイプ事件の温床だそうだ。
ってえのは、犯罪の立証がほとんど不可能だから・・・。
ほぼ全部が泣き寝入り・・・。
ヘタに訴えると逆に姦通罪に問われる。
 これも「ハット法令」に規定されてるんだそうだ。
犯罪を立証するには犯人が自白するっきゃない。
もしくは4人以上の成人男子ムズリムが証言する・・・。
あり得ないべや・・・。
 79年にバキスタンで服役中の女性は全国で70人だったそうな。
それが「ハット法令」施行後、6千人に増えた。
大半がレイプを立証出来なかった女性だそうだ。
 更にちょっと田舎に行くと、「名誉の殺人」ってな習慣があるとか・・・。
父親の意に背いて結婚相手を見つけた娘・・・。
夫以外の男性と親しくなった妻・・・。
一族郎党の名誉の為に勝手に処刑される・・・。
 やれやれ・・・。
同じ、地球にこんなとこも存在するんである。
今の時代の日本に生きられる事を感謝しないとねえ・・・。