更に・広尾・恵比寿界隈のこと

　「広尾橋」交差点を渡る。
ちょっといい感じの商店街が続く。
個人商店が多い。
喰いモノ屋もいっぴゃあある。
つい寄り道したくなる。

「でも、今日は止めとくべーじゃ・・・」

　寺院の手前を右に折れる。
まったく当てずっぽ。
何となくヒトの流れに沿って歩んでる。
坂道を登る。
何かできゃあ建物が見えた。
ヒトの出入りが激しい。
警備もちゃあんとしてるっぽい。

「ひょっとして、ここがかの有名な『セイシン』・・・」

　ソノモノだった。
やっぱそれなりの風格だった。
今日は何かイベントでもあったんだべか・・・。
保護者とかが出入りしてんだんべ。

「ひゃあ、間違っても観光客は入れてくんにゃあらね・・・」

ムリっ！

　こっから先はひとり旅。
急にヒト気が無くなっちった。
地図を頼りにウロウロ・・・。
ナントカ大使館がいっぴゃあある。
その周りは毛唐の家。
表札がヨコモジばっかしだった。

「何だか、この辺も日本ばなれしてんなー」

　瀟洒な建物が続く。

「地図で見んと、この建物んとこを入ゃーってくと最短みてゃあだで・・・」

路地を１本入ゃーった。
んで、見事に迷った。
訳がわかんにゃあ。
誰かに訊いてみんべー。
ところが人っ子1人見当たんにゃあ。
　ふとヒトが見えた。
ちょうどワンコの散歩に出るとこだったらしい。
ふっ飛んでった。
【山種美術館】を訊く。

「あー、【山種美術館】ねー。この道は繋がってないのよねー」

そいでも親切なヒトで良かった。
裏道を教えてくれた。
やれやれ・・・。