「スニオン岬」のこと

  • 旅行取扱主任者

 かつては、向学心のカケラっくらいはあった。
いろんな資格試験にもチャレンジした。
趣味と実益を兼ねてってんで、旅行の勉強もした。
世界中の名所・旧跡の勉強もした。
その時に強烈に印象に残った場所。
それが「スニオン岬」だった。
 テキストには写真はなかった。
でも、文字から情景を想像しちゃうのである。
エーゲ海に突き出した岬。
断崖絶壁である。
岬の突端に「ポセイドン神殿」がある。
ここで見る夕陽は最高。
世界一と言われるサンセットの名所である。
すっかりイメージが出来てしまった。
 以後、何度も写真を見た。
バックは必ずこの世のものとも思えない夕陽である。
”行かいでか・・・・。”
何の迷いもなく「オプショナル・ツアー」を申し込んだ。

  • 成立

 最初、「オプション」は成立しなかった。
人数が8名しか集まらなかったのである・・・。
ツアー成立は10名からだという。
みんな最後の時間はゆっくり買い物したいらしい・・・。
ま、しょーがない。
冷静に考えれば夕陽が見られる時間じゃないし・・・。
 っと思ったら、急遽成立させてくれる事になった。
何だかわかんないけど、旅行社のサービスだったらしい。
15:00にホテル出発である。
ホテルに集まったのは10名だった。
 え?何で・・・?
急に婆ちゃん&孫ペアが参加する事になったそうな。
あとはリタイア組のタバコ絡み3ペアだった。
ちょっとメンツ的にはなあ・・・。

  • 日本語

 ガイドについてくれた女性は日本人だった。
それと、もう1人現地人らしき女性もいた。
こっちはライセンス・ガイドだという。
何もしゃべらず、ただ同行するだけである。
それってオイシイ商売じゃん・・・。
 ガイドさんはギリシャに移って35年になるという。
60歳ちょっと手前らしい。
まあ、このヒトの日本語にはびっくりした。
今どき、こんなにキレイな日本語を話すヒトは見た事がない。
日本にだっていないと思う・・・。
ほれぼれしちゃった。
 最近はMHKのアナウンサーだってロクでもない。
ヘンなイントネーションがボロボロ出て来る。
あんな日本語だったら、青森の婆ちゃんの言葉の方がずっといい。
それはそれで言葉が大切にされてる。
ヘンにブレない。
 今の日本語は絶対におかしい。
間違いなく、バカ親のせいだ。
いつの世も子ども達は流行り言葉を作る天才だ。
でも、どうせすぐ飽きる。
んで、どんどん次の流行り言葉に移ってく・・・。
順応性が豊かなのである。
 大人は、ブレちゃいかんざき。
順応性がどんどん衰えてんだから・・・。
順応性のない大人が、子どもの流行り言葉に迎合すると悲惨である。
変化に順応出来ないから取り残される。
バカ丸出しである・・・。

 このガイドさんの素晴しさは日本語だけじゃなかった。
とにかく、居振舞いに品がある。
丁寧な挨拶から始まって、いろんな説明もしてくれた。
ギリシャ人の生活、教育、バカンスの話・・・。
そして移動時間を使って、幾つも「ギリシャ神話」を話してくれた。
 少なくとも、我々は嬉しかったなあ・・・。
つい、こないだ読んだ話が沢山出て来る。
ほとんど忘れてるんだけど、聞いてる内に思い出してくる。
エーゲ海」「アテネ」「ペロポネソス」の名前の由来・・・。
えりゃあ、面白かった。
しみじみと癒された気がする・・・。
 でも、聞いちゃいない輩もいる・・・。
聞かなくてもいい。
寝ててくれりゃいいんだけど・・・。
「あ〜っ!ここさっき歩いたよねえ〜っ!」
「お〜っ!ここいら辺で道に迷ったんだよなあ・・・」
「見て見て!この店にも入ったねえ〜っ!」
「ぎゃはははは・・・」
狭いバスなのに、リタイア組は大騒ぎである。
 特に「篠H♀」は、まさに小学生のはしゃぎ方・・・。
生まれたまんまの「♀」と、空気がまったく読めない「♂」・・・。
似たモンか・・・。
 ガイドさんの話が一旦、止まる。
気持ちが痛いほど伝わって来ちゃう・・・。
やれやれ・・・。
まったく空気が読めないって、羨ましいよなあ・・・。

  • 「アポロコースト」

 「ピレウス港」から「スニオン岬」までの海岸線のこと。
1時間ほどの西海岸ドライブコースである。
ここはジモティにも人気があるそうだ。
次々とサマーハウスが開発されてるらしい。
アテネにも通えるので、自宅にするヒトも多いそうだ。
 ガイドさんがギリシャに来たのは1971年だったとか・・・。
ここいら辺は何もない荒地だったそうだ。
土地を買わないかという話もあったらしい。
それこそ、二束三文だった。
今から思えば、買っておけば大金持ちだった・・・。
「ほっほっほっ・・・」っとか笑ってる。
 相場を聞いてみた。
1反歩ほどの土地に、2ベッドルームの家で4〜5千万円だとか・・・。
入り江のプライベートビーチ付きである。
いいかも・・・。

  • 「スニオン岬」

 ここが、かの有名な・・・。
感慨もひとしおである。
有名なだけあって、レストハウスなんかも充実。
岬の付け根にはリゾートホテルもある。
観光客もかなり多い。
 でも、夕陽の時間にはほど遠い。
ま、日向ぼっこでもしながらまったりしてるんだべ。
ガイドさんが解説してくれる。
今、ホテルのあるところは古代の軍港だったとか・・・。
ポセイドン神殿」の話も丁寧にしてくれた。
これでギリシャの「3大神殿」を完全制覇である。
 神殿の後ろはホントの断崖絶壁だった。
ここも、落ちたら痛そう・・・。
どーでもいいけど、希少種の「篠H♂」はここでも相変わらず・・・。
ところ構わずタバコに火をつけ、ポイ捨て・・・。
国家の恥だな・・・。
いっそ、この断崖絶壁から・・・。
 日当たりがいいからだべか・・・?
バカでかい「アザミ」が咲いてる。
花の直径が10cmっくらいある。
「松葉ボタン」もバカでかい。
葉っぱは「ノキシノブ」っくらい、花は「大輪の菊」って感じ・・・。
バケモノだべさ・・・。