アテネへの道中のこと

 初めて、ギリシャ人の生活の話が聞けた。
ギリシャの人口、1千万人の内、400万人がアテネに住む。
やっぱ、仕事を求めて都会に集まっちゃうらしい。
地方は過疎化が進む一方だと言っていた。
 ヒトの数だけ見れば、東京の人口と同じか・・・。
それが中央区に集中するみたいな・・・。
国土の広さは日本の3分の1だから、かなり人口密度は低い。
ゆったりしてていいかも・・・。
 ヒトビトは何の為に働くのか・・・?
日本人と違って、この点だけは明確らしい。
みんなバカンスを楽しむ為に働くそうだ。
わっかりやす〜いっ!
 夏の大バカンスが終わると、クリスマス休暇の為に働く。
それが終わると、次はイースター休暇の為に働く。
そして、次は本命の夏のバカンスである。
最低でも2週間、1ヶ月くらいはザラに休むらしい。
 最近は「バカンスローン」ってえのもあるとか・・・。
そりゃ、きっと利用者は多いべや。
人生は楽しむ為にある。
いつ死んでもいいように楽しみは先取りしよう。
どうせ死んじゃえば、借金はチャラだ・・・ってか・・・。
それもいいなあ・・・。

  • ガッコ

 ギリシャの夏はハンパじゃなく暑いそうだ。
今はまだ夏の日差しじゃないという。
海の色がぜんぜん違うとか・・・。
これが夏の日差しになると、海の色がまったく変わるそうだ
 もちろん気温も俄然、上がる。
とてもじゃないけど、勉強出来る環境じゃない。
ってんで、6月の10日っ頃から夏休みになるんだそうだ。
新学期の始まりは9月の10日っ頃。
3ヶ月の夏休み。
しかも、ここで学年の切り替えなので宿題もなし。
子どもにとっては天国じゃん・・・。
 ただし中学校からは厳しいらしい。
進級するにはテストを通らなきゃなんない。
通らないと幾らでも留年させられるとか・・・。
 何となくわかる気がする・・・。
この国の民力って言うか、源泉を見た気がした。
ヒトゴトながら、もうちょっと小学校から厳しくしてもいいかも・・・。
「三つ子の魂」って言うべや・・・。

 正式名は「Eastern Orthodox Church」
東方正教会」である。
憲法にもギリシャの国教として記載されてるそうだ。
国民の98%が信者だという。
 ギリシャ正教では、偶像崇拝は禁止。
その代わり、イコンがある。
元々は同じキリスト教だった。
395年に東西ローマ帝国の分裂とともに教会も分裂。
はい、世界史で勉強しましたね・・・。
 それは知ってた。
じゃ、分裂前のキリスト教では偶像崇拝は・・・?
禁止だったそうだ。
カトリックが布教の為に偶像を利用するように変わったんだそうだ。
これは、知らなかった。
ってえ事はどっちが本家なんだべ・・・?
 現在もイスタンブールに主教座をおいてる。
でも、カトリックのように、位の上下は無いそうだ。
ギリシャのどんな小さな村にも教会がある。
見た限り、質素な教会が多い気がする。
 毎日曜にはもちろんミサがある。
ガッコでも宗教科目があるそうだ。
その他、国や地方のいろんな行事もみんな教会が中心だという。
 ヒトビトの生活に根付いた宗教なんだべな。
「メテオラ」や「アトス山」には今でも修行者がこもってる。
何となく「大乗仏教」と「小乗仏教」みたいな気がする・・・。

  • 晩メシ

 この「オプショナル・ツアー」は晩メシ付き。
「スニオン岬とシーフードディナー」、1万円なり・・・。
バスは「アポロコースト」を大分、北上した。
時刻は18:30っ頃。
ガイドさんが申し訳なさそうに言う。
「ちょっと早いんですが、皆さんはフライトの都合がありますから・・・」
 夕べと同じような海沿いの洒落たレストランに・・・。
10名分がワンテーブルにセットされていた。
さすがに客は我々だけだ。
ガイドさんは運ちゃんとライセンス・ガイドと別テーブルへ。
このライセンス・ガイドってホンットにオイシイじゃん!
 生まれたまんまの「篠H♀」が窓際席に走って行った。
ブタの「篠H♂」が続く。
青森の婆ちゃん&孫ペアが次に座った。
4席確定である。
 我々は、リタイア組2組の間に座った。
夫婦スモーカーの「若B夫妻」と、正体不明の「千B夫妻」だ。
「若B♂」は良く飲んで喰うけど、多少空気が読めるのがわかった。
「若B♀」はただひたすら喰うだけだ。
遂に最後までわかんなかったのは「千B夫妻」
ロクに話もせずにモクモクと喰ってた・・・。

  • メニュー

 まずビール。
「Mythos」500mlで2.5ユーロ(約375円)。
悪くないじゃん。
嬉しい事にギリシャ料理のつまみのオンパレードだった。
ただし、「取り分け」なので多少は気を使う。
 まず【タラモサラダ】【ジャジキ】などがズラっと・・・。
日本でもすっかりお馴染みの【タラモサラダ】
ペーストだからパンに付けて喰うんだけど、そんなに喰ったら後があべっ!
ま、そこそこにしとかないと・・・。
 次に前菜で【タコマリネ】と【カラマリ】
わっかりやすいつまみである。
我が家的には【タコマリネ】がさっぱりしてて好みだった。
最後に残ってたのを「頂いちゃいま〜す」っと取った。
その瞬間、「千B♀」の眼がキラッと光ったのを見逃さなかった。
”あ、このヒト喰いたかったんだ・・・。”
でも、アフター・フェスティバルである・・・。
 さらに【アジもどきのフリッター】【ウサギサラダ】も出て来た。
なかなか豪華である。
ビールが進む喰いモンばっかしだ。
 「昨日の『ロブスター』よりぜんぜんいいですね」
「あれはひどかったわねえー!」
「うん、不味かった」
ちょっと振ると、全員が一斉に反応してきた。
 メインは【プサリア・スハラス】
ま、シンプルな黒鯛のグリルである。
30cmっくらいの黒鯛をそのまま塩焼きにしてる。
余計な事をしてないから美味い。
大満足だった。
 デザートは【ガラクト・プディコ】
これもギリシャ独特の菓子だそうだ。
名前は、後からギリシャ哲学研究家に教わった。
固めのゼリーみたいな食感に、クスクスを焦がしたような香り。
お世辞にも美味いとは思えんかった。
それでも、最後のディナーは良かった。
このツアーで、初めて☆3つをゲットしたべ・・・。

  • せっかち

 デザートが出始めた頃、もう席を立つ輩がいる。
いつもの希少種「篠H♂」である。
生まれたまんまの「篠H♀」がこぼす。
「ホントにせっかちなのよねえ・・・。すぐにイライラするし・・・」
タバコ組が気持ちはわかる、みたいな事を言う。
そして残り3人もタバコ吸いに席を立った。
 生まれたまんまは更に続ける。
「特にお腹がすくと、余計にせっかちになるのよねえ・・・」
「それはウチのも同じよ。お腹がすくとイライラして・・・」
「男のヒトってみんなそうなんじゃないの・・・?」
 とんでもない誤解である。
野蛮人ばっかり集まったんじゃないべか・・・?
ヒトコト言っといた。
「私はお腹がすくと、倒れそうになりますけどね・・・」
 笑い声とともに、ぼやきが・・・。
「性格の違いかしら・・・」
生まれたまんまが更にぼやく・・・。
「結婚して失敗したかしら・・・?」
もうヒトコト言っといた。
「そんな事、今さら言ってもねえ・・・」
ちょっと酔っ払ったかな・・・?

 タバコ組を横目にレストランを出た。
店の前の海岸に出てみる。
エーゲ海」の水に手を触れてみる。
「こりゃ、冷たくってとっても泳げないよ」
「さすがの『A重さん』もギブアップした訳だ・・・」
 少し、波打ち際を歩いてみる。
海岸は砂じゃなかった。
小さな砂利である。
ちょっとキレイな小石を幾つか拾って来た。
次にこの海を見る時は、真夏の豪華客船の上だ・・・。
ホントかね・・・?
 さあ、帰国だ!
帰国して、翌日は仕事だ。
ヤ、正確に言うと、仕事のフリだ!