クルーズ船内のこと

  • 働き者

 「イドラ島」にはクルーズ会社の経営する土産物屋もあった。
船の中で、「ヨーコさん」から案内があった。
「最後の『エギナ島』到着は16:00です」
「でも、土産物屋は15:00で閉まっちゃいますよっ!」
買い物はここ『イドラ島』でしなくちゃいかんという。
半分、脅しである・・・。
 そこで会社の土産物屋の紹介があった。
「船を降りたら、右斜め前に向かって歩くんですよっ!」
「1軒だけ3階建ての店がありますから、そこに入るんですよっ!」
すごい売込みである。
 ちょろっと店をのぞいてみた。
「ヨーコさん」がレジの中に入って店を仕切ってる。
「これは、ここでしか手に入らない『ホリホリ』ですよっ!」
何のこったかわかんないけど・・・。
すごい勢いである。
 そう言えば、船の中でも八面六臂の大活躍だった。
グループごとの説明の後は、「オプショナル・ツアー」の売込み。
売店、ジュースの売り込み。
船内のアナウンスも全部このヒトがやってた。
聞いてると、何と8ヶ国語でしゃべってた。
大したモンである。

  • 昼メシ

 再乗船時刻は14:00。
今度は第2班の昼メシの番である。
我々は、マーキングの都合で、20分ほど早めに乗船。
見ると、既に席について喰ってるペアがいた。
しっかりビールも飲んじゃって・・・。
 揺るぎない個性の「篠H夫妻」だった。
聞くところ、早寝・早起き・早メシ・ポイ捨ての「篠H♂」は62歳。
生まれたまんまの「篠H♀」は60歳っくらいらしい・・・。
刈り上げ頭で、いつでもチョコチョコ小走りのかき揚げである。
嫁さんに「尿モレ予防体操」なんか教わりに来た。
かなりユニークな還暦である。
 どうでもいいけど、席の場所が悪い。
給仕の出入口でうるさいし、すぐ横がトイレ。
トイレは強烈に臭ってる。
スタッフは戦争状態で、座席の背もたれにボコボコぶつかる。
うっとうしい事、この上ない。
「ガッシャ〜ンっ!!!」
その内、後ろでトレーをひっくり返した。
だんだんイライラしてきた・・・。

 少しずつ、乗客が帰ってくる。
「TBX」のメンツも2テーブルに揃った。
ただでさえうっとうしい席なのに、メンツが又うっとうしい。
「篠H夫妻」、「若B夫妻」と1人連れの「篠H女史」・・・。
隣のテーブルは若い衆ペア、婆ちゃん&孫、「千B夫妻」・・・。
早めに乗船したのが災いした・・・。
 やっぱ「篠H♂」はおかしい!
ADHD(多動性障害児)じゃなかんべか?
ボロボロこぼしながら、ひたすらガツガツ喰ってる。
喰い終ると、すぐスタッフを呼ぶ。
皿を指差して、「チェンジっ!チェンジっ!」
こんなに大人数のコース料理を給仕してるのである。
スタッフだって、構ってらんない。
周りのニンゲンだって、チョーうっとうしい。
 嫁さんもキレかかった。
「せっかく皆さん揃ったんだし、もっとゆっくりしましょうよ・・・」
言っちゃった・・・。
「オレはそういうのが一番嫌いなんだ、余計気分が悪くなった!」
席を立って、どっか行ってしまった。
 内心、思った。
行っちゃえ!行っちゃえ!
どっか行って、そのまま海にでも落っこっちゃえっ!
ったく、てめえの勝手で早く喰い始めて・・・。
ガツガツするんじゃねえっ!
ホントに62年間も無駄に生きてきたんだべなあ・・・。

  • メニュー

 不愉快なテーブルだったけど、内容は盛り沢山だった。
ま、やむを得ずビールは注文した。
「Amstel」缶、350mlで3.5ユーロ(約525円)
さっき、「ポロス島」でナンピン買いして来たので腹も立たない。
 前菜は【ギリシャ料理盛合せ】だった。
これがなかなか面白かった。
ガイドブックに載ってた料理が少しずつ、4〜5種類。

【パスティッチョ】はマカロニと挽き肉のトマトソースパイ。
【ジャジキ】はキュウリとヨーグルトの和え物。
【メリジャノサラダ】は茹でナスのペースト。
【サガナキ】はチーズの揚げ物。
【ケフテデス】はギリシャ風肉だんごで、トルコのキョフテと似てる。
【ホウレン草ソテー】はフツーのホウレン草。

ギリシャ料理の見本市って感じ。
味も悪くなかった。
 サラダはやっぱ【ウサギサラダ】
これは外せないっしょ。
 メインは【ローストビーフ】だった。
っとは言っても、食感は限りなくチャーシューに近かった。
我々的には嫌いじゃない。
肉好きには物足りないべな・・・。
観光客にとってはいろいろ喰えて面白い。
でも、席の悪さ、メンツの悪さも手伝って、☆は1つだな・・・。