ナイル川沿岸の雑感

  • 外貨獲得

体調イマイチの朝一番、ホテルチェックアウトでヒトモメ。
昨晩のミニバーのビール代を支払おうとしたら、USドルかユーロ以外受付けない。
何の冗談だ?それは?と気色ばんだ。
レセプションカウンターの掲示を示して、申し訳無いが政府の指示だと言う。
ざけんなよ。ドルやユーロの小銭は持って無いと言った。
釣りは£E(エジプトポンド)で出すので100ドルでも何でも払ってくれ、と来た。
段々意地になって来た。
昨晩、ここで両替したばかりで£Eは沢山ある。
こんな汚い紙幣はもう要らない(これは日本語だから通じて無い)と言った。
それなら両替のレシートを見せれば£Eの支払いOKだと言う。
レシートは捨てたので無いと言った。
カードで払うと頑張ったが、流石に$7では機械が受付けなかった。
すったもんだしてたら、添乗員のエツコさんが心配してやって来た。
「私が立て替えます」とか言い出し、迷惑になるので諦めた。
カウンターに$7叩き付けてバスへ。ったく根性が気に入らない。

  • 警察署集合

朝6:30にホテルを出発、警察署へ。
外国人観光客のツアーバスが続々とルクソール警察署に集まって来る。
バスだけで無く、タクシーや乗用車もある。
銃撃テロ以来、国を挙げて強化した警備体制の一環。
ルクソール〜アスワンのナイル川沿岸観光は警察車両の護衛付きだ。
1日2回出発時間が設定されている。
7:00の次は11:00なので、大半はこの時間に集中すると言う事らしい。
物凄い数のコンボイだ。

小市民は必ず出掛ける先の言葉を幾つか覚える。
出発の1ヶ月くらい前から、トイレに一覧表を貼って覚える。
年々覚えが悪くなって、最近は「おはよう」「こんにちは」「有難う」など。
最低限の短い言葉を10コくらいが限界。
そして道中で嫁さんに偉そーに幾つか教える。
今朝は7:00の出発前の待ち時間に、バスの外で挨拶の練習。
嫁さんが「サバーフルヘール」(おはよう)と繰り返していた。
突然、物陰にいた鉄砲を持った警察官が「サバーヒンヌール」(おはようのお返し)。
あー、びっくりした。
アラビア語イラクあたりからモロッコまで共通らしい。
でも多分、もう二度と使う機会は無いな。

  • 袖の下

バクシーシ(喜捨=施しのチップ)と言う慣習にはなかなか慣れない。
現地スルーガイドは皆、一様に行く先々でいろんな人に金を握らせていた。
ポケットから触りたく無い色の札束を出す。
幾つかくるくるっと丸めてさりげなく渡してはニコっとする。
ほとんど握手みたいなモンらしい。
厳重な警備体制(?)で至る所に金属探知のセキュリティチェックがあったりするが、
ま、良いじゃない、でパスも出来る。
我々はそれで便宜を図ってもらえる。
どこへ行っても円滑に観光が出来るので文句を言えた義理では無いが・・・。
官民の差も無い?

  • トイレ休憩

護衛付き大観光旅行団ご一行様は、途中のドライブインもどきでトイレ休憩をした。
カギの壊れた男女一緒のトイレなので、皆交代でドアを押さえながら用を足す。
こんなトイレでもすれっからしの便所乞食がいて、「ワンダラー」と手を出す。
小市民は学習機能で、自己基準を決めた。
「ワンダラー」とか言うヤツは徹底的にシカトする。
何も言わずトイレットペーパーをちぎって手拭として差し出すヤツは合格。
50ピアストル(=0.5£E エジプトポンド 約9円)を払ってから手を洗う。
手を洗った後でこの紙幣は触りたく無い。

  • カフェ&ショップ

って書くと小洒落た店を想像してしまうがトンでも無い。
地べたにテント小屋を作って、安い白い樹脂のイステーブルが置いてあるカフェと、
埃だらけの商品が積み上げたりぶら下がったりしているショップ。
このカフェに警察の幹部と思しき連中がどっかり腰を下ろしてお茶している。
そしてこの連中が立ち上がるまで、大観光旅行団は動けない仕組みになっている。
休憩は15分程度と聞いていたが、何の何の1時間も動く気配が無い。
その間、ショップから物売りがバスを回る。
トイレのついでに寄った客を覚えておいてじっくり交渉する訳だ。
結局、暇を持て余した事もあって、女性陣はオソロの日除けスカーフを購入。
ドライブイン側から相当握らされているのが見え見え。

  • 厳重な護衛集団(?)

先頭と最後尾を押さえ、中間を何台もの警察車両が行き来しながら護衛する、
と言う説明であったが、ざっと30〜40台の車列がカバー出来るのかな?
途中、一般道路でも100km以上で飛ばしても先行車両が見えなくなったり、
渋滞して動かなくなったり、訳が分からない。
トイレ休憩のドライブインもどきから後はあまり護衛の意味は無かった様な気がする。
もう目的は達したと言うことか?
そう言えば1時間の休憩の間に、警察官とチョコチョコやり取りした後、
先に出て行ったクルマが何台か見えた。
やっぱり何となく雇用対策っぽいなあ。

  • エドフの町

ホルス神殿以外に何も無い小さな町だが、一時的に物凄い数の観光客が殺到する。
我々の様な護衛付き(?)観光団とナイル川クルーズ船の観光客。
クルーズ船の客は足が無いので、港とホルス神殿間を無数の観光馬車で往復。
元々、交通ルールが無いので、客の獲得に血眼の馬車が押し寄せ誰も動けなくなる。
我々のバスも同様。くだらん事に時間掛かり過ぎ。

  • ホルス神殿

立派である。前日のカルナック神殿ルクソール神殿に匹敵する。
ホルス神を現す隼のキレイな石像がある。
相変わらず至る所にターバン姿がうろうろしていて、スキあらばの構え。
7人中5人がお腹が落ち着かないので、観光もイマイチ盛上りに欠ける。
僅かなフリータイムもトイレに有効利用しなきゃいけない。
でも、なるべくこんな所のトイレは使いたく無いが・・・。

  • やはり便所乞食

それ程急を要していなかったが、連れ何とかでトイレに行った。
やはり居た。「ワンダラー、サー」と手を出して来た。
思わずキレた。
踵を返し、出て行こうとすると「ノーノー、ソリー」とか言って引き留めに来た。
もっとキレた。
思い直して、憮然として用を足しシカトで出て来た。

ナイル川を見下ろす丘の上に建てられた見事な神殿。
石壁のレリーフも素晴らしい。レリーフの題材に医療器具やカレンダーもある。
至聖所が2つあって、2種類の神を祀っているのも珍しい。
境内(とは言わないか)にナイル川の水位を測るナイルメーターもあった。
ここを出た後は一路アスワンに。護衛の群れは何処へ?