続々・【ぎんざ一二岐(いぶき)】のこと

  • これでもか!

 続いてお椀登場。
まず器に感激。
お椀のフタ裏に見事な蒔き絵。
東海道53次なんだとか。
中央にうなぎを挟んだ玉子豆腐がどーん。
上にまっ白な針ねぎ。
キレイな木の芽。
そしてちょうどいい塩梅のつゆ。
うなぎはがっつり原形。
存在感がある。

「ん美味ゃーなー、こりゃあ・・・。たまんにゃあなー・・・」

 次にお造り。
これが又、感涙モノだった。
目の前の板さんがサクを取り出す。

「お、立派な金目鯛じゃんか!それに立派なアジ!」

これを流れるように捌く。
優雅だで・・・。
金目鯛は炙ってサカナ柄の器に・・・。
アジは「関アジ」だった。
これはガラス容器に梅ジュレ仕立て。

「ん美味ゃーなー、これも・・・。たまんにゃあなー・・・」

 ちぃっと経験がにゃあ。
こんな完璧な応対って覚えがにゃあ。

「ひゃあ、これでもかって感じだで・・・。参ゃーった!」

まずは店構えでやられる。
小っちぇえけんど、シンプルで上品な佇まい。
余計なモンが何もにゃあ。
そして流れるような優雅な仕事ぶり。
板さんのいごきに見惚れちまあ。

「ひゃあ、恐れ入りやした!」

  • ウリ

 当店のウリの1つ。
強肴のカツオ。
高知から空輸。
見るからに美味そうないいカツオだった。
サクを串刺しに。
んで、藁をコンロに投入。
目の前で藁焼き。
煙がもうもう・・・。

「いやあ〜、懐かしいなー。いい香りだなー」

 更にコンロで皮を焼く。
あと、喰い方はお好みで・・・。
薄切りタマネギがツマ。
山葵と超薄切りスライスにんにく。
塩とポン酢・・・。
いろんな組み合わせが出来る。

「迷っちまあなー。でも、まずはシンプル塩だんべ!」

 まずは塩のみ。
一瞬、声が出にゃあ。

「な、何じゃ、このカツオっ!こんなカツオ喰ったこんがにゃあっ!」

美味ゃあっ!
とにかく美味ゃあっ!
香ばしさ。
滑らかさ。
甘さ。

「こんなん、やまだかつて喰ったこんがにゃあっ!」

 ついつい声が出ちまあ。

「美味ゃあねー。何じゃ、こりゃあ!って感じだねー」

板さん、ひたすら謙虚。

「有難うございます。そう仰って頂けると嬉しいです!」

完璧じゃん!