帰国のこと

  • 深夜便

 またまた「ウズベキスタン国営航空」にお世話になる。
嬉しいなっと・・・。
チェックイン・カウンターはそんなに混んでない。
これならのんびり横になっていけるかも・・・。
 考えてみりゃ、真夜中である。
空港も閑散としてる訳だ。
土産物も食指が湧かないし・・・。
搭乗ゲートでのんびりする事にしよう。
さっき、仕入れてきた「Amstel」がある。
「あ〜っ!又、飲んでるぅ〜っ!」
若い衆ペアに見つかってしまった。
 23:45発、「HY−266便」で一路、タシケントへ。
何だか古そうな機材だなあ・・・。
アテネよ、さらばじゃ!
今度来る時は、「豪華船でエーゲ海クルーズ」だべさ。
果たして、いつ実現出来るか・・・?

  • 爆睡

 飛行時間は4時間40分。
どうせ、映画も期待出来ない。
帰国は夜中である。
家に帰れば、0:00っ頃になるべ。
んで、翌日は仕事のフリしなきゃなんない。
必然的に、寝る事に専念する。
 機内食が出た。
もちろん「ビア、プリ〜ズ!」
例のビンビール「AZIA」が出て来た。
これって、何かカッコいいよなあ〜。
 もう既に下地は作ってある。
体制は万全。
早速、寝床造りにかかる。
古い機材のせいか、ヤにシートの窪みが大きい。
枕や、毛布で埋めて平らにする。
これで完璧なベッド完成である。
いざ、爆睡。

 6:30頃、タシケントに到着。
いやあ〜、寝たあ〜。
さて、今度はターミナルに入れるか・・・?
タラップを降りるとバスが数台待ってる。
 「ナリ〜タ〜っ!」
っと叫んでる兄ちゃんがいる。
このバスに乗れって事らしい。
我々16名だけの専用バスだった。
今度はターミナルに連れてってくれた。
何と、鉄筋の立派なビルだった・・・。
 「なあ〜んだ・・・」
ちょっとガッカリ・・・。
兄ちゃんが中に案内しようとしたら、ドアが開かない。
カギがかかってた。
早朝だからねえ・・・。

  • やっつけ仕事

 やっとドアが開いて中へ・・・。
さっきの兄ちゃんがそのままチェックイン係になった。
モタクサ・モタクサと作業してる。
手際が悪い・・・。
しかも完全なやっつけ仕事である。
 ペア同士の配席なんて、とんでもない。
何でもいいから、チェックインさえすりゃいい。
ボーディングカードに何か刻印させるのが彼の仕事らしい。
「リツ子さん」もあきれ顔である。
あとで全部回収して、再配席しなきゃなんないべや・・・。
 ビルはいっちょ前でも、タバコにまでは神経が届かないらしい。
搭乗ゲート待合室以外は何でもあり・・・。
何て野蛮なところだ!
我がグループの喫煙者どもは狂喜乱舞である。
”こいつら・・・”
締めっきりの屋内が白く煙ってる。
臭くってたまらん。
搭乗待合室に逃げよう。
 っと思ったらヘンなオヤジが叫ぶ。
「ノーッ!」
待合室に入っちゃいかんと言う。
「何で?」
「リツ子さん」登場。
ヘンなオヤジと折衝を始めてくれた。
その間隙を縫って、とっとと待合室に逃げ込んだ。
タバコ臭くていられない・・・。

  • 仕事っ嫌い

 待合室には「免税店」が1軒。
あとはバーコーナーがあるだけだった。
でも、ちゃんとした待合室である。
”何だ、ふつーじゃん。”
期待してたほどの面白さは無かった。
それでも何でも、とりあえず煙くないからいい・・・。
 突然、若い衆ペアの「リカちゃん」が駆け込んできた。
「大変なんですっ。『リツ子さん」がいじめられてるんですっ」
「へ?」
「おじさんがすごい怒っちゃって・・・」
「ったく・・・」
仕方なく待合室から出た。
 ムカつくのでバカオヤジと一戦交えてやろうかと思った。
「リツ子さん」の脇に行く。
どうも会話になってない。
「成田に行くんだろ?だったら乗れ!」
これしか言えない能無しだった。
話にならん・・・。
 要するに、このオヤジは仕事っ嫌いだった。
早く全員を搭乗させて、早く仕事を終えて家に帰りたかった。
だから待合室には入れたくなかった。
今、中にいる連中も追い立てて乗せるつもりだった。
それなのに盾突きやがって・・・ってんで、怒ってる。
 この、ばかたれがあ〜っ!
フライトの1時間以上も前なのに・・・。
どこの国に、客を怒鳴りつける従業員がいるっ!
下僕の分際で、頭が高いっ!
ここまで低レベルとは思わなんだ。
とてもじゃないけど、西側とお付き合い出来るレベルじゃないべや・・・。

  • ダブル・ブッキング

 知らなかった。
「リツ子さん」が喰い下がってたのは別な理由だった。
単に「早く乗れ!」、「何で?」っじゃ無かった。
そんなの、どうでも良かったんだ。
実は席がダブル・ブッキングされていた。
これを確認しろっと交渉してくれてた。
 能無しバカオヤジは、頭に血が昇って訳がわかんない。
何を言っても「早く乗れ!」しか言えない。
結局、当事者だけを残して他のみんなは搭乗した。
中でテキトウにやり繰りする事になった。
 でも、我々は乗れなかった。
当事者が嫁さんだった。
そしてもう1人は1人連れの「篠H女史」・・・。
仕方なく3人が残って、交渉にならない交渉を続けた。
 この「篠H女史」ってのがクセ者だった。
「私の席なんかどこでもいいわよ。乗っちゃいましょうよ」
「でも、万一、席が足りないと困りますから、確認させます」
そこは「リツ子さん」、さすがに添乗員である。
 っとは言え、この能無しバカオヤジじゃ話にならん。
他のスタッフを呼んで確認させた。
ま、席の数は十分足りてる事がわかった。
そんなに混んではいないらしい。
じゃ、あとは中でやり繰りしようって事になった。
ったく・・・。
東側の公務員の質が良くわかった。

  • トラブル

 さらにトラブルは続く・・・。
ダブル・ブッキングした席は「35-C」だった。
当方の席は「35-A」である。
最後に確認したスタッフが又、バカだった。
わざわざ手書きで嫁さんのボーディングカードを訂正した。
訂正した席は「36-D」である。
余計なことを・・・。
 確かにそんなに混んでなかった。
周りを見るとみんな、3人席を2人ずつで使ってる。
仕方がない・・・。
嫁さんが「篠H女史」に席を代ってくれるようにお願いした。
ヤだという。
「へ?」
「『35-C』は、私の席なんだから・・・」
 一瞬、空気が凍った。
”え?何で?”って感じ・・・。
「リツ子さん」も言葉が出ない。
「篠H女史」は何だかわかんないけど、キレてた。
「いいわよ!わかったわよっ!どっか別の席を探して頂戴っ!」
すごい形相である。
嫁さんを睨みつつ、去って行った・・・。
 訳がわかんない。
さっき、”私はどこでもいい”って言ってたべや・・・。
「リツ子さん」は平身低頭である。
向こうと、こっちと、両方にひたすら謝ってる・・・。
何なんだ?
諸悪の根源は「クズベキスタン」じゃあっ!