「カランバカ」のこと

  • 「カランバカ」

 今夜の宿泊地である。
車窓から、独特の岩山が見えて来た。
あれがかの有名な「メテオラ」だ。
何とも言えない威容である。
 「カランバカ」は「メテオラ」観光の拠点の街である。
元々トルコ語だという。
おっ!
「テシュキシュエデルム」か・・・。
トルコ語で城のことらしい。
地中海の歴史をほじると、至るところにトルコが出て来る。
ここいら辺も全部トルコの領土だったんだよなあ・・・。
 今日のホテルは「クセノス ホテル」
今回のホテルの中では一番グレードが高い。
まだ出来たばっかりって感じ。
ラナイ付きのなかなか立派な部屋だった。
ラナイから「アギオス・ステファノス修道院」の岩山が見える。
夕陽に映えて素っ晴しい眺めだった。

  • 仔犬

 ボ〜っと景色を眺めていた。
ふと、ワンコの声が・・・。
しかも仔犬っぽい。
甲高い声で懸命に吠えてる。
 見ると、立派な一軒家の庭で仔犬が駆け回ってる。
ちょうど、家の主らしきオッサンがクルマで帰って来た。
ワンコは狂喜乱舞である。
キャンキャン吠えながら飛び回ってる。
う〜〜ん。
動きが若い・・・。
 オヤジが家に入りかけた。
ワンコの喜びは頂点である。
1mっくらい、ハイジャンプしてる。
でも、何故かオヤジは又出て行っちゃった。
ワンコは収まらない。
「ギャン、ギャンギャンギャン、ギャン!」
半狂乱である。
可っ愛いよなあ・・・。

  • シャッフル

 晩メシはホテルのレストランである。
キレイなクロスのかかった立派な席でディナーである。
 突然、「リツ子さん」が悪戯っぽい眼をした。
「今日はちょっと趣向を変えてみたいと思います」
全員シャッフルで席を作るという。
”うわあ〜〜っ”
 内心、叫んだ。
こう言うの、めっちゃ苦手である。
自然体で構わないじゃんってのはわかってる・・・。
でもなあ・・・。
仕事モードになっちゃうんだよなあ・・・。
 5人ずつ3つのテーブルが出来た。
我がテーブルは愛煙家「若B♂」、正体不明の「千B♀」
それに婆ちゃんと孫ペアの孫「アユミちゃん」
もう1人はギリシャ哲学研究家の「布S女史」・・・。
やっぱ、妙な緊張感がある。

  • 隣の芝

 隣の芝は青いか?
嫁さんのテーブルは女の園だった。
若い衆ペアの「原Sリカちゃん」、1人連れの「篠H女史」
生まれたまんまの「篠H♀」、青森の婆ちゃん「ヤエさん」
ここは何の憂いもない。
口数の多いヒトばっかりが集まった。
嫁さんと「リカちゃん」が揃えば磐石である。
 もう1卓はビミョーだった。
若い衆ペアの片割れ「A重さん」、変人スモーカー「篠H♂」
愛煙家でヒゲの「千B♂」、そして愛煙家「若B♀」
ギリシャ哲学研究家の片割れ「菅N女史」
そして「リツ子さん」である。
 ここは「A重さん」が孤軍奮闘。
「リツ子さん」は席を立ってる事が多いから仕方ない。
でも、さすがに後半は息切れしたんじゃないかな・・・。
他に空気を読むヒトは見当たらない。
ちょっとメンツがしんどそうだった。

  • 仕事モード

 アタマは完全に仕事モード。
長老「若B♂」と、変わりばんこに話題を振る。
でも、なかなか共通の盛り上がるネタって無いモンである。
21歳の「アユミちゃん」をスケープゴートにする。
あ〜でもない、こ〜でもないとかまう。
サラリーマンのオヤジのやる事はいずこも同じである。
 やがて、それも息切れしてきた
次はギリシャ哲学研究家を突っつき始めた。
研究室では「ギリシャ語」以外を使うと罰金なんだそうだ。
片割れの「菅N女史」は東大卒・・・。
今は別なガッコで教鞭を取りつつ、研究を続けてるとか・・・。
 ふえ〜〜っ。
ハンパじゃない。
ついついギリシャ正教の事とか訊いたら、はまっちゃった。
今でも「イスタンブール」は総本山なんだと・・・。
こっちも嫌いじゃない。
ここだけでやたらに話が盛り上がってしまった。
いかん、いかん・・・。
周りを巻き込んで、ギリシャ土産の話に持ってく・・・。
え〜い、疲れるぜ・・・!

  • メニュー

 ディナーの冒頭、「リツ子さん」からメニューの紹介があった。
今日は【白身魚のフリット】だと言っていた。
一同、ちょっと嬉しい。
 まずはビールである。
又、「Mythos」だった。
500mlとは言え、4.5ユーロ(約675円)。
そりゃねーべや!
大して美味くもないのに・・・。
しかも仕事モードの緊張のテーブルで、酔えない。
 前菜は【サガナキ】っというギリシャ料理
ま、チーズの揚げ物である。
塩加減もちょうど良くって、いいつまみになった。
パッと見ると、「長崎」って読めちゃうんだよなあ・・・。
 次は得意の【ウサギサラダ】
これは味がついてないので失敗はない。
オリーブオイルとビネガーで美味しくいただいた。
 いよいよ、メインの・・・。
あれっ?【ビーフ・シチュー】が出て来た。
付け合せにバターライスとグリンピースが添えてある。
ま、いっか!
結構、美味い。
2キレの肉片の内、1キレをやっつけて投了。
 デザートは【蜂蜜のケーキ】だった。
さすがにこれは甘い!
ノドが痛くなるほど、甘い!
降参である。
ま、この内容なら、☆2つかな・・・。

  • 追い討ち

 っと思った時に、「リツ子さん」登場。
「済みません。店の方でメニューを間違えたそうです」
ま、あり得るこっちゃ・・・。
「良ければ今からでも魚を出してくれるそうですが、如何ですか?」
まっさか!
もう喰っちゃったべや・・・。
 ところが、恐ろしいのはニンゲンのサガである。
15人中、11人が手を挙げた。
すんげえ〜〜っ!
どうしても喰いてぁってか・・・?
嫁さんも手を挙げてる。
どうせ、勢いだけだんべな・・・。
 それはそうと、この座をどうすんだべ?
もう、矢尽き、刀折れたぜ・・・。
仕方ないので「布S女史」と話してた。
女史も肉を喰っちゃったので、手を挙げなかった。
2人で、ギリシャ文化のマニアックな話で盛り上がってた。
 でも、彼女も途中で退席した。
片割れの「菅N女史」が風邪気味とかで・・・。
例の5時にメシ喰って8時に寝る「篠H夫妻」はとっくにいなかった。
やれやれ・・・。
この企画はどーだべなあ・・・?
明日は「メテオラ」観光だ。