マーガレットさんの雑感

  • ワンマンショー

 ジェラゾヴァ・ヴォラを後にしてバスは一路ワルシャワへ。
道中、マーガレットさんのワンマンショーだった。
いろんな雑学の話をしてくれた。
ジモティならではの話なので面白い。
 更にポーランド民謡を歌ってくれた。
「森へ行きましょう」「楽しいポーレチカ」「カッコウの何たらかんたら・・・」
それもポーランド語と日本語でフルコーラス!
もちろんプロじゃない。
でも、何とも愛くるしい声で律儀に全部歌ってくれた。
この歌声は妙に耳に焼き付いてしまった。
 音楽のセンセイのおばはん達がハモり始めた。
別な意味でおばはんパワーの本領発揮である。
ま、それはそれで・・・。
この道中が終わるとマーガレットさんとお別れである。
みんなの気持が手に取るようにわかる。
ホントにオアシスだったんだ・・・。

  • 教会

 マーガレットさんの話はみんな印象に残った。
中でも教会の話は面白かった。
この東中欧界隈の教会には3種類あるんだそうだ。

  1. フランク教会・・・ドイツ風教会型(チェコ・ボヘミア・モラビアなど・・・)
  2. 東方教会・・・・ビザンチン教会型(ブルガリアセルビア・ロシアなど・・・キリル文字社会)
  3. ローマ教会・・・・バチカン教会型(ポーランドなど・・・)

 気持ちはよくわかるけど、ポーランドはドイツにもロシアにも反発してた。
そうなるとローマ教会と手を組むのは自然な流れ。
国民の95%が敬虔なカトリック教徒というのもうなづける。
ポーランドはヨーロッパ随一のカトリック教国なんだとか。
 そう言えばバスの車窓からあっちこっちに十字架やキリスト像が見えた。
どんな田舎にも必ずあって、必ず花が沢山添えてあった。
何となくお地蔵さんや道祖神みたいな風情だった。
今でもイースターの金曜日には市場から肉が消えるそうだ。
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世がポーランド人だったのは偶然じゃない。
 ポーランドの辞書には「政教分離」って文字は無いそうだ。
選挙のたびに教会が先頭を切って候補者を推すらしい。
1995年の大統領選挙の時も教会はワレサを推したらしい。
それでも落選するってえのは相当なモンだべな。
どれだけ信用失墜してたかがわかるエピソードだった。

 共産主義時代、教会の収入は寄付とバチカンからの手当てだけ。
なかなか大変だったらしい。
ところが1989年、資本主義に転じてから収益構造が大きく変わった。
教会はれっきとした事業になったらしい。
営業して、結婚式や葬式を掻き集める。
ま、平安閣みたいなモンだべ。
こうした式典の費用はガンガン上がってるらしい。
最近は教会が若い衆の人気リクルート先になってるとか・・・。
 「実は・・・」とマーガレットさんが明かしてくれた。
今日、訪れたブロホフ村の教会で神父ソンが叫んでいた。
あれは「観光客は出て行け〜っ!」っと怒鳴っていたんだそうだ。
そして使用人の男にも怒鳴っていたそうだ。
「お前は何をやってるんだ!追い出せ!」
もちろんその使用人はマーガレットさんが上手に丸め込んでた。
そ〜だったんだ。
どうも激しい説教だなあ、とは思ってたけど・・・。
よく、ミサに集まったヒトビトが何も言わなかったなあ・・・。
 何でもこの神父ソンはすっかりカネの亡者になってるらしい。
しばらく前にマーガレットさんの友達がここで結婚式を挙げたいと言い出したそうだ。
そこで、いつも行ってるよしみでマーガレットさんが交渉してあげたとか。
ところが、トンでもない料金を吹っかけてきて呆れて止めたらしい。
ひょっとして、そん時の交渉決裂の恨みかな・・・。

  • お別れ

 そんなこんなで17:00頃にワルシャワのホテルに到着。
初日に泊まった「ノボテル・セントラム」に戻ってきた。
マーガレットさんとはここでお別れである。
キョーコさんがチェックイン手続きをしている間にみんなで名残を惜しんだ。
次々と握手したり、一緒に写真を撮ったり、住所を教えてもらったり・・・。
 キョーコさんが部屋割りや明日の予定の話を始めても終わらない。
明らかにキョーコさんは不機嫌である。
そりゃ、まずいよなあ・・・。
っとか思いながらも、ツワモノどもは動じない。
でも、ちゃんと片っ方の耳で聞いてるんだけどね・・・。
 嫁さんが何か土産を捜してる。
結局、ディバッグからセンベイと梅干を見つけて持って行った。
一緒に写真も撮った。
住所も書いてもらった。
みんなしてホントに名残惜しそうである。
花巻の学長「O山田さん」がいつまでもいつまでも話してた。
 キョーコさんから晩メシの案内があった。
「今日は18:40から、ホテルのレストランです」
「え〜〜っ?ろくじよんじゅっぷ〜〜ん?」
「さっきメシ喰い終わったのが16:00じゃ〜ん」
ってな声があっちこっちで上がる。
そりゃ喰えないべな・・・。
ま、仕方なくとりあえず部屋に引き上げる。
ヒマだし、ビールでも飲むっきゃないべや・・・。

  • 同席者Ⅶ

 まったく腹が減ってない状態だけどみんな集合。
大したモンである。
写真家「Hヤシさん」は探検に出掛けて欠席だとか。
我々の同席者は遅れて来た学長の「O山田さん」と土地家屋調査士の「S原さん」
偶然だけど「O山田さん」は昼メシと連チャンだ。
「S原さん」はかなり天然の方である。
見てるとあっちこっちのグループでいいオモチャになってる。
ま、座持ちがいいので助かるのは助かる。
一家に一台タイプかな・・・。
 食事の方は今までで一番いい味だった。
よりによってこんなタイミングで・・・。

  1. 【ミネストローネスープ】  本格的で、具沢山で、美味かった。ホシ2つ半。
  2. 【ターキーシュニッツェル、ポテト・インゲン添え】  絶妙だった。何で今日なんだ?完全にホシ3つ。
  3. ラズベリーパイ・コーヒー】  ちっくしょ〜、美味い。ホシ2つ半。

 美味しいだけに腹が立つ。
どのテーブルを見ても大半が残されてる。
そりゃあそうだべ。
3時間も経ってないんだから・・・。
ホテルのシェフに申し訳ないよなあ・・・。
せめて1時間遅らせる事が出来ないのか?
いや、昼を早メシにしちゃえば良かったのに・・・。
あっちこっちで悔し紛れの声が聞こえる。

  • 「O山田さん」節

 「S原さん」は「O山田さん」を平気で「じいちゃん」と呼ぶ。
この「O山田じいちゃん」すっげえイケてる。
食事はろくに喰えなかったけど、思いっきり笑わせてもらった。
後遺症でしゃべり方が「無着成恭」みたいである。
んでもって言うことが奮ってるんで吹き出しちゃう。
最高である。
 「O山田じいちゃん」はマーガレットさんが大好きだった。
「明日から私は何を楽しみに生きればいいんだ〜?」
っとか言ってる。
マーガレットさんの話をすると顔がふにゃふにゃである。
熊本大学に留学して、菊池という男と一旦は結婚したんだ」
ヤに詳しい。
 嫁さんが面白がっていろいろ突っつく。
突っつけば突っつくほど思いがけない反応が返ってくる。
「大体、自分がキャリアウーマンでござい、なあ〜んて言うヤツはバカ女だ!」
「自分が会社の中でホンの歯車だって事がまったくわかってない!」
「必ず子どもを産めとは言わん、が結婚はしなきゃ社会人として失格だ!」
痛快なんだけど笑っちゃう。
これを「無着成恭」調でしゃべるのである。
「ずんびずんばあ〜」みたいな・・・。
ますます興が乗って来たけど又、次回の楽しみに・・・。
明日は国境を越えてリトアニア・カウナスだ。