「ジェラゾヴァ・ヴォラ」の雑感

  • 二日酔い

 しくじった。
やっぱり調子に乗って飲み過ぎた。
朝から絶不調だった。
しかも今日は出発が早い。
7:30の出発までには復活しないべなあ・・・。
 とりあえず朝食ブフェの会場に行く。
「ジェイン・ドブリィ・・・」(おはよう)
せっかくのジモティ挨拶もイマイチ元気がない。
豪華なブフェを見ても食欲が湧いてこない。
「ヨーグルトだけでいいや・・・」
嫁さんも少し胃を休めるとかでヨーグルトとフルーツだけ。
普段、朝メシはホットミルクとフルーツだけだ。
ホントはこれっくらいで丁度いいんだけどね・・・。

  • 350km

 今日は半日バス移動である。
予定では6時間半とか書いてある。
バスの座席はみんながテキトウにローテーションするのがマナー。
前方、中間、後方を自主的に代る不文律がある。
 今回のツワモノ達はちゃんと行程も読んでる。
なかなか大したモンである。
明日は移動が長いから前に行こう・・・とか・・・。
毎朝、集合時間前に待ち構えていてお好みの席をゲット。
我々は行く頃には荷物がいっぱい置いてある。
ま、どーでもいいんだけど・・・。
 我々が気にするのは左右に並んで席を確保することだけ。
キョーコさんを入れて24人のメンバーである。
49人乗りバスなら絶対ゆったり座れるはずだ。
左右並んで席を確保すれば嫁さんは必ず日陰側に座れる。
要するにカーテンを閉めたくないだけ。
バスの前方を陣取って、カーテン閉めて高いびきなんてもったいない。
遷り変わる異郷の景色はえりゃあご馳走だと思う。

 天候は少し回復の兆しが見える。
気温もずいぶん上がってきた気がする。
CNNやBBCを見てる限りではもっと良くなってくはずなんだけど・・・。
 車窓から見える空はコロコロ変わっている。
出発の頃は団体の雲に覆われていた。
ここ数日と同じ抜けるような曇天だった。
でも、北に向かうに連れて青空ものぞくようになった。
晴れたり、曇ったり・・・。
 この青空に浮かぶ雲が何とも独特である。
ちょっと日本ではお目にかかれない気がする。
例えてみればヒツジの群れなんだけど、何かが違う。
どこか印象的で、ついつい見とれてしまう。
写真も何枚か撮ってきた。
到着の時に晴れてくれるといいな・・・。
 「ジェラゾヴァ・ヴォラ」についたらやっぱり曇天だった。
てんめえ〜〜。
ついにポーランドは天気に恵まれなかった・・・。

  • 雑学

 長い道中でキョーコさんも大変である。
幾つか雑学を披露してくれる。
でも、6時間半も続かない。
話の合間はジモティの音楽を流してくれる。
ショパンのピアノとかポーランド民謡とか・・・。
皆さん、絶好の睡眠導入剤だ。
 突然、「そう言えば・・・」と始まった。
「お客さんから『アウシュビッツ』の十字架のご質問を頂いてました」
ん?
マーガレットさんが話していた十字架のことだという。
あれっ?昨日の質問に答えてくれてるんだ。
どうしちゃったんだべ?
 後で嫁さんと話した。
キョーコさんって後でいろいろ反省するタイプなのかも・・・。
昨日もその場で答えられなかった事を気にして後で調べたのかも・・・。
きっと生真面目なんじゃなかろうか・・・。
っだとしたらやり方が上手じゃないべ。
それだとせっかくの努力が活かされないかも・・・。
ちょっと考えさせられた。

  • ユーロ

 ポーランドは2004年にバルト3国とともにEUに加盟した。
予定では2007年頃に通貨をユーロにしたいらしい。
早くロシアを離れて完全な欧州化を果したい。
過去の歴史を考えたらわからないでもない。
 でも、現実は大変らしい。
エネルギーの大半をロシアに依存している。
EU入りした事でロシアからエネルギー値上げの脅しが来ているとか。
やりそうだべなあ・・・。
あっちこっちで風力発電を見掛けたけど間に合わんべなあ・・・。
資源開発・産業育成を急がなきゃなんない。
 見た限り、インフラの整備もまだまだ必要である。
道路もかなりガタガタ。
バスが小刻みに揺れるお陰で全身マッサージが出来た。
ず〜っとメモを取っていたんだけど、後で自分の字が読めない。
嫁さんいわく「そりゃ、揺れの所為じゃないべさ」
ま〜ね。

  • 「ジェラゾヴァ・ヴォラ公園」

 お昼頃、「ジェラゾヴァ・ヴォラ公園」に到着。
「Jelazowa Wola」
何とも呼び難い名前である。
ワープロで何とか書けても、口では言えない。
でも、ある意味では聖地みたいなところらしい。
今や世界の音楽愛好者のショパン崇拝の象徴なんだそうだ。
ショパン生家博物館」を中心に「ジェラゾヴァ・ヴォラ公園」になっている。
 「みぃなさま!お帰りなさ〜い!」
出た!
マーガレットさんだ!
バスの中はやんや、やんやの大喝采。
みんなの顔が和んでいる。
これだけツアーの人気者になっちゃう現地スルーガイドも珍しい。
 今日は13:30にコンサートの予約をしてあるそうだ。
ショパンの生家」の一室で我々だけの為のプライベートコンサート。
ま、ムードだけでも洒落た趣向である。

  • 「ブラホフ村の教会」

 公園から8kmばかり離れたホントのド田舎。
周りに何も無くって道沿いに小さな民家が並んでる。
滅多にクルマも通らない静かな村だった。
この村の教会でショパンが洗礼を受けたんだそうだ。
 予定外だったらしいけどマーガレットさんが案内してくれた。
プライベートコンサートまでの時間調整である。
今日は日曜日。
ミサの真っ最中だった。
教会は着飾ったヒトビトで溢れていた。
迷惑にならないように個別にチョロッと中を覗いてみた。
神父ソンが何かでっかい声で叫んでいる。
この時は随分激しい説教をする神父ソンだなあ・・・と思ってた。
 教会をチョロッと見て後は近所の家の庭なんかを眺めてた。
家庭菜園があって、ワンコやアヒルやニワトリがいる。
何とものどかないい景色である。
ホントはみんなマーガレットさんとあれこれ話したい様子。
でも、またまたキョーコさんがガッチリ拿捕して放さない。
多分、また現地旅行社へのクレームである。
ず〜っとくっついてギャ〜ギャ〜やってる。
何だかなあ・・・。

 まずは家の中を見学。
ダイニングルームや父母の部屋などが復元されている。
ショパンの生家」は1939年に復元されて公開されたんだそうだ。
ところがその年、第二次世界大戦が勃発。
ショパンの遺品はドイツ軍に略奪されてしまったそうだ。
家屋もぶっ壊されて惨憺たる状況だったらしい。
 でも、多くの音楽ファンを始めポーランド人が頑張って再復元したとか。
今でも「国際F・ショパン財団」が資金を集めて遺産を保護している。
マーガレットさんからそんな話があった。
こう言うのには何の抵抗も無く寄付しちゃう。
我ながら不思議である。
マーガレットさんの効用だんべか?

  • 「プライベートコンサート」

 家屋の見学が終わってコンサート。
先ほど見学したダイニングルームに我々の為に席が並んでいた。
ふと見ると、窓の外にも席が沢山用意されている。
庭を見学している観光客もおこぼれ頂戴出来る仕組みである。
何とも優雅なこってある。
 部屋に入る時にちゃんと本日のプログラムが手渡された。
演奏家は「EUGENIUSZ CHUDAK−MORZUCHOWSKI」さん。
読めないけど「モルツォコフスキーさん」とか言うんだべか?
演奏が始まった。
 いやあ〜、びっくりした。
ピアノを聴いてこんなにびっくりしたことは無かった。
思わず肌がトリになっちゃった。
観光用のムードだけのコンサートかと思ってなめていた。
とんでもなかった。
素晴らしい演奏だった。
窓の外からも惜しみない拍手の嵐で、アンコールも受けてくれた。

  【PROGRAMME】

  1. Nocturn in E flat Major Op.9 no 2
  2. Etude in C sharp Minor Op.10 no 4
  3. Mazurka in C sharp Minor Op.63 no 3
  4. Scherzo in B flat Minor Op.31
  5. Waltz in C sharp Minor Op.64 no 2
  6. Etude in A Minor Op.25 no 11
  7. Polonaise in A flat Major Op.53

 いやあ〜、いがった。
何だかすんごいトクした気分。

  • CD

 40分くらいだったけど素晴らしいコンサートだった。
この企画は大ヒットである。
「なんとかスキー」さんは汗びっしょりだった。
日本人にはちょっと・・・と言われるのも無理はないかも・・・。
あらためてショパンの偉大さがわかった。
 嫁さんが「なんとかスキー」さんと握手して写真におさまった。
すんごいチカラ強い手だったと言っていた。
興奮覚めやらぬまま、庭に出てしばし散策。
すると向こうでマーガレットさんの声が・・・。
今の「なんとかスキー」さんのCDを手にしている。
「みぃなさま、良かったらCDにサインしてもらえま〜す」
 まずはおばはん達が脱兎の如く群がる。
「えっ?CDはこれだけしか無いの?」
「あたし、3枚欲しいんだけど・・・」
スーパーのタイムサービス状態である。
 マーガレットさんが苦笑してる。
「だいじょぶで〜す。CDはまだ売店に沢山ありま〜す」
我々も当然のようにCDを買って来ちゃった。
帰国してから聴いてもなかなかのスグレモノだと思う。

  • 土産物

 ちょっとフリータイムがあって売店に行った。
ショパンの五線譜のTシャツを買う事にした。
値段は30zl=約1,200円。
ジモティにしたらとんでも無い値段だとは思う。
でも、寄付と思えば、ま、いっか。
 売店に日本人の若気な女性が群がってた。
何だかわかんないけど団体で売店を占領してる。
彼女達のガイドらしきヒトが買い物を手伝ってる。
「これ、あなた達のセンセイの・・・」とか言ってる。
夫々何か楽器らしきモノを持ってるし、どっかの音大生かな?
 外国人観光客らしき男性がカメラを向けてる。
気持はわかるなあ・・・。
あの場所で、絶対にモノ珍しいべ。
茶髪やら金髪やらいるし・・・。
塗装も服装も奇抜だし・・・。
カメラ向けられると「イエ〜イ」なんてやってるし・・・。
思いっきり他国人のフリしたくなった。

  • 昼メシ

 今日はコンサートの為に昼が遅くなると聞いてた。
今朝は二日酔いでヨーグルトしか喰ってない。
ホントは腹が減ってたまらないはず。
でも、逆に胃を休ませたのでえりゃあ好調に戻った。
実際、昼メシのことなんか忘れてたし・・・。
それっくらい素晴らしいコンサートだった。
 昼メシは「ジェラゾヴァ・ヴォラ公園」に近いレストラン。
時間は15:00近かった。
ま、いつも休みの日なんかは良くあるパターンだ。
どうってこたあない。
何は無くともまずはビール。
当店も「ZWIEC」0.5Lで6zl=約240円。

  1. 【サラダ】  良くお眼にかかるザワークラフトもどき。ホシ2つ。
  2. 【パスタスープ】  パスタはソーメン程度で軽め。ホシ2つかな・・・。
  3. 【ヒラメもどきのフリット・ポテト添え】  揚げ物攻めだけど、結構好み。ホシ2つ。
  4. 【ミルフィユ】  甘くなくって美味。レコードかも・・・。ホシ3つ出しちゃう。

 嫁さんの忠告通り、必ず半分は残すようにしている。
結構美味かったので罪悪感が残っちゃうんだよなあ・・・。

  • 同席者Ⅵ

 今回、お初の同席者がいた。
一番最初に成田の集合の時に居なかったヒト。
花巻で大学の学長をされているという「O山田さん」
ずっと一目置いていたヒトである。
もう1人はお馴染みの写真家「Hヤシさん」
何ともビミョーな取り合わせである。
 「O山田さん」はずっとタダモノじゃないと感じてた。
右半身がちょっと不自由で杖をついている。
顔や話し方にもちょっと後遺症があるように見える。
ところが、そんな不自由なんか超越した感性が滲み出ている。
実に面白い。
 昭和7年生まれだという。
何だ、三島のじ〜じと同い年じゃん。
信じられないパワー、感性、一家言である。
「Hヤシさん」は緊張の面持ちだった。