クラクフへの移動の雑感

 相変らず抜けるような曇天である。
でも、CNNやBBCの予報によるとこれから快方に向かうはず。
期待しよう。
 今日は鉄路クラクフへ移動。
列車に乗るのも旅の楽しみの1つではある。
但し、6人席のコンパートメントだった。
そうなると同席するヒトによって全然雰囲気が変わっちゃう。
気疲れしないヒトだといいな・・・。
 ホテルから「ワルシャワ中央駅」にバスで向かう。
駅は「文化科学宮殿」の横である。
明らかに歩いた方が早い。
こういう場面でツワモノどもはついつい思ってしまう。
「何だか官僚的で、融通が利かないなあ・・・」
 キョーコさんも悪人って訳じゃない。
真面目なのだ。
交通事故にでもあったら困る、と心配なのだ。
何でも一生懸命にやろうとして半分パニくるんだ。
ツワモノどももちょっと工夫しなきゃいかんべなあ・・・。
 駅は古くて暗いイメージだった。
ソ連が1,000日間で完成させた象徴的な駅舎だそうだ。
当然、市民には嫌われてる。
やっぱどこかソ連の臭いがする。
今でもエネルギー供給をロシアに頼っているので仕方ない。
 出発までちょっと時間があってフリータイム。
駅周辺の地下商店街を歩いてみた。
いろんな店があって何となく生活感が漂ってて面白かった。
ペット用具の専門店発見。
お坊ちゃまは元気にしてるかなあ・・・?
ちょっとアタマを過ぎる・・・。

  • お見送り

 マーガレットさんはすっかりツアーの人気者になっちゃった。
いつしか全員の心を掴んでしまった。
旅ズレしたツワモノどもとキョーコさんの相性も影響してる。
どうしてもしっくり来てない。
テコの原理でマーガレットさんの株が上がっちゃう。
 今朝も元気にホテルに現われた。
「みんなさ〜ん、ジェイン・ドブリィ!おはよございま〜す」
この「みんなさ〜ん」を聞いただけで笑いが起る。
何だかどんどんオアシス化して行く。
 今日からクラクフに2泊して、又ワルシャワに戻るスケジュールだ。
その時に又、ワルシャワで合流するという。
ホームからマーガレットさんがお見送り。
「みんなさ〜ん、いってらっしゃ〜い」
和むなあ・・・。

 昨日の観光で、車中、マーガレットさんからいろんな話を聞いた。
基本的なポーランドの雑学を中心に話してくれた。
そしてジモティならではの話題も幾つかあった。
その中で印象深かったのが「ユダヤ人」の話。
 1つはポーランドに来る「ユダヤ人」旅行者の狼藉の話。
特に若い「ユダヤ人」が始末が悪いという。
カネにモノを言わせてガードマン連れで旅行に来たりするらしい。
そしてバスの中やホテルの部屋をメチャクチャに壊す。
カーテンを引きちぎる。
喰いモノ、飲みモノを床にまき散らす。
他の客の迷惑も省みず朝まで大音響で音楽を流す。
飲めや歌えやの大騒ぎなんだそうだ。
 そんで、ホテル側で注意なんかしようものなら大変らしい。
「また、『ユダヤ人』を迫害するのか?」
っと喰ってかかるらしい。
そして、狼藉を更にエスカレートさせるという話だった。
彼らはポーランドを「ユダヤ人」を見殺しにした国というらしい。
 そして現在の政府要人にもユダヤ系が増えている。
毎年、アウシュビッツ解放記念日には公式に国が謝罪をするという。
ユダヤ人を守れなくて申し訳無かった、ということらしい・・・。
何だかどっかの米の国の構図と似てるなあ・・・。
おカド違いも甚だしいと思うけど・・・。

  • 十字架

 もう1つ、数年前「アウシュビッツ」で騒ぎがあったそうな。
それは「ユダヤ人」の言いがかりで始まった。
「ここで殺されたのは『ユダヤ人』ばかりだ。飾られている十字架を外せ!」
そして、チカラづくで飾られている十字架を奪おうとしたとか・・・。
 史実は全く違う。
いろんな国のいろんな宗教のヒトが殺されてる。
ポーランド人」も沢山犠牲になってる。
ポーランドは稀に見る熱心なカトリック教徒の国。
近隣住民が夜警に出て十字架を守る騒ぎになったそうだ。
 「ポーランド人」と「ユダヤ人」の関わりは複雑だ。
部外者にはなかなか理解し難いことではある。
マーガレットさんが「ユダヤ人」嫌いだという事だけはよくわかった。

  • 同席者Ⅲ

 コンパートメントの座席はくじ引きになった。
ま、それもいいか悪いかわかんないけど・・・。
今回の同席者は我々の他に4人。
偶然だけど、昨日の昼メシで一緒だった絵描きの「K林夫妻」がいた。
それに1人ズレの比較的若い女性2人。
写真が趣味の「Hヤシさん」と、英語が堪能な「ハマちゃん」だ。
 ま、場持ちは悪く無いメンバーだ。
早速、絵描きの「K林さん」が昨日の作品を披露。
昼間のスケッチに夜、ホテルで彩色して完成させた作品が10枚以上。
「わあ〜、すごい〜」
「キレイな色使いですね〜」
これでひとしきり盛り上がった。
 絵が一回りすると「K林さん」は他のコンパートメントに出張回覧。
あっちこっちで「わあ〜っ」とか「へえ〜」とか声が上がる。
残った5人は各々の世界に入った。
「K林夫人」はパズルにのめり込んでる。
「ハマちゃん」は早々に本を読み始めた。
「Hヤシさん」は本を読んだり、写真を撮ったり、寝たり・・・。
我々ものどかな景色を眺めたり、ダベったり、本を読んだり、寝たり・・・。
要するに皆さんてんでんバラバラのベテランである。
やれやれ・・・。

  • トイレ

 旅に出て、命の次に大事なのがパスポート。
その次に大事なのは絶対にトイレである。
日本人は世界に名だたるトイレの近い民族なんだそうだ。
ツアーでは大体2時間おきにトイレタイムを取るのがフツーである。
これがジモティの旅行会社には理解出来ないらしい。
「2時間?ホワイ?」
バスの運ちゃんはついついドライブインを素通りする。
 キョーコさんはトイレの案内も熱心だった。
「駅のトイレは有料です。列車のトイレも汚いのでホテルで済ませて下さい」
なるべく無料でキレイなトイレで用が足せるように力説してくれる。
面白いモンでトイレって意識するとむしょうに行きたくなっちゃう。
この力説のお陰で何べん苦しんだことか・・・。
ご本人に罪は無いんだけどねえ・・・。
 仰せに従って出掛けにホテルでしぼり出し。
駅のトイレには行かなかった。
列車ではさすがに3時間は我慢出来ずに1回トイレに行ってみた。
何も、えりゃあキレイだった。
まったくノー・プラモデル。
こちとら中国やエジプトの列車にも乗ってんだい!