ワルシャワ郊外の雑感

  • 挨拶

 1日の始まりはまず朝メシ。
ホテルのレストランに出掛ける。
まだ1日目なので「グッモーニン!」しか言えない。
レストランでスタッフのやり取りに耳を澄ます。
「ジェイン・ドブリィ!」(おはよう!)
なるへ、こういうイントネーションか。
明日っから使ってやるべ。
 どこへ行っても「挨拶」と「有難う」だけは覚える。
ポーランド語で「おはよう・こんちは」は「ジェイン・ドブリィ」
「有難う」は「ジン・クエン」
正確な発音は知らないけど耳で聞いた通りに覚える。
赤ん坊とおんなじだ。
でも、これだけでもジモティはすんごく嬉しそうな顔をしてくれる。
困るのは得てして喜んで話を続けたがること。
他の言葉はまったくわかんない。
急に英語になっちゃったりして、笑ってごまかす。
瞬間芸の国際交流である。

  • アメリカン・ブレックファースト

 朝メシはブフェ形式のアメリカン・ブレックファースト。
通常の洋食メニューに加えてご当地料理も幾つか置いてある。
なかなか豪華で、しかも美味しかった。
「ホシ3つですぅ〜」
 いつもの事ながら喰い過ぎた。
まったく根がいやしいんだよなあ〜。
沢山取ってくる訳じゃないんだけど、見たモノは味わってみたい。
しかも喰いモノを残す事が出来ない性分である。
ちょっとずついろんな種類を取ってきて全部喰う。
結局喰い過ぎ・・・。
 前日からの寝不足、疲労と相俟って不調である。
何となく腹が落ち着かない。
嫁さんからコンコンと諭された。
「もう若くないんだから・・・、残すのも大事よ」
仰るとおりで・・・。

  • 4回メシ

 ポーランド人は早起きなんだとか。
みんな5:00前に起きて、6:00くらいに仕事が始まるらしい。
ってえことは朝メシは5:00頃。
当然、10:00頃には腹が減る。
そこでブランチみたいな2回目のメシを喰うそうだ。
 んで、更に遅めの昼メシ。
これが一番重要らしくてたっぷりしたメシを喰うらしい。
主食はやっぱしジャガイモだそうだ。
後は肉・ソーセージや乳製品が豊富にある。
昼間の内に3回のメシを喰っちゃうことになる。
 仕事は15:00〜16:00に終えるそうだ。
「アフター3」を堪能するんだべな。
夜はあんまり喰わないらしい。
せいぜいパンとミルク程度の軽い晩メシが一般的だとか・・・。
ポーランド人は4回メシを喰う。
トコロ変われば・・・。

  • 観光開始

 いよいよポーランド観光の始まり。
それにしても寒い。
空は抜けるような曇天だし・・・。
ありったけの重ね着をして、腹巻までして、震えながら出掛けた。
街を歩くヒトビトもコート・ダウンジャケット姿である。
信じらんない・・・。
 最初はバスでワルシャワ郊外へ。
現地スルーガイドは夕べお会いしたマーガレットさん。
38歳、娘1人、バツイチ。
日本に留学して、一度日本人と結婚したんだとか・・・。
決して美人だけど、めっちゃ愛嬌があって可愛い。
素晴らしいガイドさんだった。

  • 「ヴィラヌフ宮殿」

 最初の目的地は「ヴィラヌフ宮殿」
17世紀にトルコ軍を追撃した「ソヴィエスキ3世」が建てたそうな。
このヒトは「ヨーロッパの救世主」と呼ばれたとか。
キレイな花の庭園を暫し歩くと立派な宮殿が見えて来た。
ぐぁ、大部分が足場とシートで覆われてる。
何だっつうねん。
 マーガレットさんが言う。
「ポランドでは、観光シズンになると修復工事を始めま〜す」
ちゃんとギャラリーの笑いが取れる。
ポーランド人なのに大したスルーガイドである。
 宮殿内を見学してるとチラチラとフランス式の中庭が見える。
なかなかキレイだ。
宮殿内を一回りし終わると皆から「中庭を観たい」と声があがった。
添乗員のキョーコさんいわく
「別料金ですが、どうしても行きたいですか?」
別料金ったって、4.5zl(ズウォティ)=約180円である。
元々一筋縄じゃないメンツだし、行かいでか!
 結局、一部の待機組を残してマーガレットさんが引率。
行ってみると木曜日は無料解放日だと言う。
何だ、あいにく今日は木曜日じゃんか。
タダだった。
でも、フランスやドイツの宮殿・庭園を観ちゃってるとねえ・・・。

  • 「ワジェンギ公園」

 有名な「ショパンの像」が置いてある公園。
何より、公園近辺にヒトとクルマが少ないのにびっくりした。
まるで雪虫が舞う頃の札幌みたいである。
寒いし・・・何だか寂しくなっちゃう。
 静かな公園に「ショパンの像」は佇んでいた。
遠目に見るとショパンの像の背後にエイリアンみたいなモンが見える。
「何だ?ありゃ?」
すかさずマーガレットさんから解説があった。
ショパンは柳が大好きなのでしたね。あれは柳です」
なるへ・・・。
 突然、静寂を突き破って甲高いホイッスルが響いた。
見るとツアーメンバーのおっさん達が芝生の中に入って写真を撮ってた。
遠くで警備員がホイッスルを吹いておっさん達を指差している。
おっさん達は「何だよ?」みたいな顔でにらみ返したりして・・・。
イギリスの「エバーグリーン」の発想とは違うらしい。
 公園の入り口には「ピウスツキ元帥」というヒトの像も建っていた。
こちらはポーランドの英雄で、来日したこともあるとか・・・。
その兄ちゃんは日本でアイヌ出身の奥さんと結婚したとか・・・。
全然、知らんかった。

  • 昼メシ

 昼メシはヤに近代的な造りのレストラン。
内装も黒を基調にぶっ飛んだインテリアだった。
天井の至るところから鳥の羽根が干し柿状態でぶら下がってる。
何故かトイレに向かう途中に長さ5mはあろうニシキヘビがいた。
何だっつうねん。
「この店は夜はディスコになりま〜す」
マーガレットさんの解説があった。
趣味は合いそうにないなあ・・・。
 まずはビールと思った。
値段を聞くと330mlで14zl=約560円だと言う。
そんなバナナ!
日本より高いべや!
ポーランドの平均月収は8〜9万円と聞いている。
観光客と思ってなめちゃいけないよ。
 昨日から腹も落ち着いてないし・・・や〜めた!
でも、何も飲まないのも寂しいので赤ワインを1つ頼んだ。
これもグラスで15zl=約600円。
しかもトンでもなく不味かった。
ったく、ざ〜けやがって・・・。

  • 「赤かぶのスープ」

 今回のツアーもご当地名物料理が散りばめられている。
これも結構楽しみではある。
多分、フリーだったら我々が名物を口にする事はなさそうだし・・・。
誰だって人情として美味いモン喰いたいもんね。
ま、出されちゃったらとりあえずは喰ってみるということで・・・。
 名物の初っ端がこの「赤かぶのスープ」
ホントは夏場は冷製が多いらしいけど、今日のは温製だった。

  1. 【赤かぶのスープ】   ま、ふつーに美味しい、ホシ2つ。
  2. 【チキンソテー・サワーソース・ポテトフライ添え】   まずまず美味しい、ホシ2つ。
  3. 【チーズケーキ】   甘っ!ホシ1つかな・・・。
  • 同席者

 ツアーの食事で同席するメンツはとっても重要である。
しばらく行動を共にするヒトビトと良好な人間関係を作る絶好のチャンス。
なんだけどなあ・・・。
今回は苦戦したなあ・・・。
 皆さん、ちょー揺るぎない個性の持ち主だった。
どうも自然体で話が出来ない。
元々が苦手のジャンルである。
そこに輪を掛けていつも一種異様な緊張感が付きまとってた。
だんだん自分の度量の無さに自己嫌悪に陥ってくる。
 この時のメンツはおばさん3人連れとヒトの良さそうなご夫婦。
全員、団塊の世代のど真ん中だ。
おばさん連は親分肌の「I川さん」を中心に良くしゃべる。
ま、場持ちがいい。
後で聞いたら全員音楽の先生なんだとか・・・。
ん〜〜〜ん、これが噂の教育者かあ・・・。
 ご夫妻の方は「K林さん」
ダンナさんがいつもスケッチブックを持ってて特徴的だった。
午前中の観光の時も何箇所かスケッチをしていた。
このジャンルは嫌いじゃないので盛んに話題を振ってみた。
 いつも油性フェルトペン1本でスケッチするらしい。
それも1枚が3〜5分で大づかみに捉える。
何せ、観光途中だから腰を据える訳にはいかない。
そして夜、ホテルで水性絵の具で彩色して完成。
旅行中毎日、10〜15枚を仕上げてしまうという。
ふえ〜〜っ!
なかなかふつーでは出来ないべなあ・・・。