「そら」の誕生日のこと

  • 1週間

 やっと誕生日のお祝いが出来た。
1週間遅れ。
待望のケーキが・・・。
年に1度の大ゴチソウ。
一刻も早く喰いてゃあ。
ぜってゃあに目を離せにゃあ。

「危にゃあで!目ぇ離したら、一気に全部喰っちまあで・・・」

 ローソクは6本。

「早あなー。もう6歳になっちまあだかねー」

ニンゲンで言えば40歳っくりゃあか。
立派なおっさんじゃんか。
にも関わらず、でんでんらしくにゃあ。
いつまでも赤ん坊状態・・・。
 家に帰ると儀式が・・・。
カギを開ける音がカチャッと・・・。

「わおおお〜〜〜〜んっ!わんわんっ!」

遠吠え1発。
脱兎の如く、玄関にふっ飛んで来る。
しばし狂喜乱舞・・・。

  • シーズン

 ホントは18日が誕生日だった。

「ひゃあ、今日は亡くなった『まお』の『誕生日だで・・・」

そーなんだよなー。
いつもクリスマスと誕生日が一緒だった。
一緒だから、あんまし日がズレろこんが無かった。
 忙しかった。
遊ぶこんが多過ぎて・・・。
18日なんてピークだで。
世の中がみ〜んな浮き足立ってる。
街中、クリスマスだ、忘年会だ・・・。

「まあ、今年も良く遊び回ったで・・・」

 あっと言う間だった。
ホンの数秒でケーキを平らげた。
お坊ちゃま、不満そう。
残ってるニンゲンの分を睨んでる。

「まだ、あるじゃにゃあか・・・」

ってな目つき。

「しょーがにゃあなー。今日は特別だで・・・」

そーいたに、甘みゃあだ!