【富士山】のこと 26
- 「江戸屋」
【八合目】まで下りた。
確かに下りは早い。
「あんだけ苦労して登ったのに、何となくつまんにゃあなー」
ここいら辺からは砂礫っぽい道が続く。
ホコリっぽい。
ただ、ひたすらホコリっぽい。
ヒトは大分減った。
分岐して「吉田ルート」へ行った衆が多い。
それでもそこそこいる。
ヒトの歩くホコリが気に障る。
たった1匹でも、もうもうたるホコリ・・・。
だんだん不愉快になる。
「あんにゃろー!ガサツな歩き方しやがって!ちったあ後ろのこんも考えろっ!」
っとか思う。
自分も同じなのに・・・。
【七合目】あたりからは「砂走り」。
本格的な砂礫だけの道。
悪路としか言いようがにゃあ。
フワフワとか言いながら、溶岩がいっぴゃあ。
砂で滑ったり、岩に乗り上げたり・・・。
「こんなとこ走るって信じらんにゃあで・・・」
- 手袋
だんだん暖かくなって来た。
っつか、暑ちぃ。
タオルが有難てゃあ。
手袋がうっとおしくなって来た。
「え〜い!取っちめえ・・・」
素手に袖まくり状態。
そん時、後方からヒトが飛んで来た。
見ると山荘のスタッフ。
飛んでる・・・。
小走りなんだけど、すごい勢いで下ってく。
その姿はまさに「砂走り」。
「さすが、山小屋の兄ちゃんは上手いわねー」
通行人が感心してる。
なるほど・・・。
あーやって走るんだ。
ちっとやってみたくなった。
たまたま偶然、砂粒の揃った場所に来た。
溶岩礫なんか混じってにゃあ。
ホコリもたたにゃあ。
「おー、ここなら出来そうな気がすんなー」