【富士山】のこと 21

  • お鉢

 「お鉢巡り」の続き。
まだ半分周んなきゃなんにゃあ。
先を見るとず〜〜〜っと下ってる。
その先は又登ってる。
しんどい・・・。

「ひゃあ、もう一旦下ったら、登りたくにゃあなー」

 ご馳走は下界の景色。
山梨県側の景色がくっきりと見える。
すらばしい眺め・・・。

「ほほー、今日は全ての山が見えますなー。こんな事は珍しいですよ・・・」

さっきのじさまだった。
御歳88。
米寿で富士山登頂23回目。
驚嘆のじさま。
 じさまが説明してくれる。

「あれが『北アルプス』の『何ちゃら山』、隣が『こんちゃら岳』・・・」

端から1つづつ言う。
全部の山の名前を教えてくれた。
当然、1つも覚えてにゃあ。

「あれを全て縦走すると、なかなかのホネでしてなー。富士山の比じゃありません・・・」

ウソだろー・・・。

  • 趣味

 舎弟が気ぃ遣う。

「すごいですねー。先ほど『剣が峰』で拝見しましたが、富士山21回目でしたっけ・・・」

お、見てたか、みてゃあな・・・。

「いや、23回目ですがな。何度来てもいいですな・・・」

あた・・・。
 すかさずフォロー。

アルプスの山も全部ご存知なんですね。きっと登られたんでしょうね?」

思わず面相が崩れる。

「いやあ、これだけが趣味でしてなー。バカの1つ覚えですよ」

更にフォロー。

「88歳って仰いましたよねー。米寿で山登りが出来るなんて素晴らしいですよねー」

 多分、ご満悦。
ニコニコしながら歩んでった。
でも、ホントだで・・・。
すらばしいっ!
88歳で富士山。
きっとトレーニングは欠かせにゃあ。

「ひゃあ、縁側でネコ抱いてるじさまじゃ、ぜってゃあに出来にゃあで!」