大先輩の送別会のこと

  • 大先輩

 エラい方がカイシャを卒業する。
大先輩だで。

「送別会をやろう!」

中先輩から声がかかった。
もちろん、異存にゃあ。
 3人でクルマに乗った。
大先輩が言う。

「あー、浅草行ってくれる?」

我々は従うだけ。
浅草のレトロっぽい肉屋に着いた。

【まちなみ】

ってな看板が掛かってる。
 美味かった。

「先輩、こんなモンしゅっちゅう喰ってたら早死にしますよ!」

大先輩、笑ってる。

「うん。だから全部食べないの。残りは君のお土産にして」

げっ!
余計なこん言うじゃにゃあだよっ!

  • ご馳走

 美味かった。
けど何より一番のご馳走は会話だった。
笑いが絶えにゃあ。
昔話に花が咲く。
ワインがどんどん空いてく。

「ひゃあ、こんな先輩に恵まれて幸せだったなー」

ってつくづく思った。
 大先輩は頼みの綱だった。
我々後進にとっても、カイシャにとっても。
ガッペした後のぐっちゃぐちゃな状態を何とか収めた。
相当なエネルギーが必要だったと思う。
身体も壊した。
でも、卒業に当って曰く。

「やっぱ、いい先輩や仲間に恵まれたと思うよ。
自分は大した事出来なかったけど、みんなのお陰で今日までやってこれた・・・」

 尊敬っ!
この大先輩にして、このコメント。
中先輩が言った。

「先輩はもう十分エラくなっちゃったからいいけど、
我々はまだまだ先があるんだからちゃんと面倒見て下さいよ」

ふえ〜。
結局、送別会の支払いは大先輩だった・・・。