帰国のこと 【11/25】

  • 別れ

 ここでお別れ。
21名と「ミサりん」は第1ターミナルでバスを降りた。
【木の芽クズ】はバスを降りずに第3ターミナルへ。
こっから直接バンクーバーへ帰るそうな。
あっという間にフェイドアウト・・・。
一同がホッとする様子がわかる。

「ひゃあ、最後の最後までてゃあへんなこんだったなあ〜」

 「なべ子」は当然残った。
彼女ともここであっけないお別れ。
ホントならしみじみと別れを惜しみてゃあとこだけん。
彼女が最後まで面倒見なきゃなんにゃあ。
アタマが下がる。
「ミサりん」がひと言。

「皆さん、ホントにお世話になりました。ご協力有難うございました」

 堰を切ったように皆がしゃべり出した。

「いやあ〜、参ったよねー。何なの、あれ?」

理解者は注目の的。

「オタクは偉かったわよねー。良く話し相手になってあげてたじゃない!」

理解者は涼しい顔。

「いや、病気ですから・・・。実は僕の職場に同じ症状の同僚がいるんです」

  • 危機管理

 「ミサりん」は恐縮至極。

「実は元々クスリを常用してたんですが、今回それを忘れて来ちゃったんですね。
それでクスリが無い事でパニックになってしまって・・・。今朝も医者を呼んだんです・・・」

話は止まらにゃあ。

「家族は何やってんのよ!奥さんとかいるんでしょ?」

「奥さんは日本にいて、単身赴任らしいんです。それで病気に・・・」

 だんだん話は会社の対応に向いてく。

「それにしても酷いわよ。ブラックリストに載せた方がいいわ!」

「ミサりん」も苦しい。

「会社としても申し込みの段階では判断出来ませんし、苦しいところなんです。
最近増えているのは、認知症の方なんです。家族が1人参加で送り出しちゃう・・・。
その間、休めるって事なんです・・・」

一同、呆れる。

「ひゃあ、ひっで〜っ!常識を疑っちまあな・・・」

 「ミサりん」を責めてもしょんにゃあ。
でも、ひと言は言っといた。

「ひゃあ、こんな世ん中だに何があっても不思議じゃにゃあで。
会社として危機管理体制を整備しとかにゃあと、そのいと事故が起きるで。
ぜってゃあに他の客を犠牲にしちゃあダメだで!」

ひゃあ、責めてんじゃ!