続・合同慰霊祭のこと

  • 「ゆり」

 今年は塔婆が1つ増えてる。
実家のワンコ。
忠犬「ゆり」の塔婆だで。
まさに忠犬だった。
何年か前の武勇伝がある。
ある日、じ〜じと山ん中を散歩してた。
その時、ばったりイノシシに出遭ったそうな。

「ひゃあ、あいつはじ〜じを守って、突進してっただでっ!」

じ〜じが興奮気味に解説してた。
 でも、さすがにテキはできゃあ。
キバで突かれて、「ゆり」は太ももに名誉の負傷。
じ〜じは無事だった。
「ゆり」はすぐに病院に担ぎ込まれた。
幸い命に別状無く、後遺症も無かった。
 一躍、名犬。
忠犬「ゆり」は一族郎党の喝采を浴びた。
そんな「ゆり」も老いには勝てなかった。
足も弱って来た。

”1日でも長生きしてくいよ〜”

みんながそう願ってた・・・。

  • 雷雨

 去年の秋、嵐があった。
すぎゃあ勢いで雷が鳴ったそうな。
ワンコは雷が大の苦手。
じ〜じが大騒ぎ。

「ひゃあ、『ゆり』がいなくなっちゃったで!
あの足じゃ遠くに行ける訳がにゃあっ!
何とか探すべーっ!」

 結局、【ゆり】は見つからなかった。

”遠くに行ける訳がにゃあ”

っが、油断だったかも・・・。
意外に遠くまで逃げちまったかも知んにゃあ。
でも、戻るチカラが無かったとか・・・。
事故に遭ったかも知んにゃあ。
考えればキリがにゃあ。
 じ〜じも遂にあきらめた。

「ひゃあ、首輪だけでも供養してもらうべーじゃ」

っで、「まお」と同じ墓に入った。
実家にポカッと穴が空いちゃった。
この穴はなかなか埋まらにゃあだに・・・。

”忠犬「ゆり」、「まお」たちと安らかに眠れよ〜っ!”