鈍行のこと【1/12】

  • オオモノ

 我がゾウさんはオオモノだった。
のっしのっしと歩き始めた。
とってもスローペース。
後ろから来たゾウさんが追い抜いてく。

「ひゃあ、ずいぶん遅っせえな、このゾウさん」

 何だかんだ10頭くりゃあ抜かれた。
いや、別にいいんだけど・・・。
すずっきーズ号は、遙か先に行っちゃった。
オッサンが世間話を始めた。

「ひゃあ、日本からかね・・・?」

みてゃあな・・・。
 オッサンに訊いてみた。

「ひゃあ、このゾウさんは年寄りかね?」

オッサンは悠然と答える。

「年寄りってほどじゃにゃあな。30歳っくりゃあだから・・・」

 確かにゾウさんの寿命って知らにゃあ。
30歳って言うと、壮年の域なんかな・・・?
オッサンが続けた。

「Slow is good! Fast is no good!」

ひゃっひゃっひゃっ、とか笑ってる。
そーだ。
その通りだっ!

  • 【ジャレブ・チョウク(Jaleb Chowk)】

 城の中庭。
ここが「ゾウのタクシー」乗り場になってる。
この中庭へは「チャンド門」か「スラージ門」から入る。
ゾウさんがこの門を通る。
なかなか絵になる。

「ひゃあ、世話になったな、オオモノゾウさん!」

 ゾウ使いに100ルピー札を手渡す。

「Thank you! It was wonderful! Thank you!」

有無を言わさにゃあ。
オッサン、何か言いかけた。
けど、バイチャっ!
「ラクさん」とすずっきーズが待ちかねてた。
 こっから城内の観光。
急な階段を上がる。
「ラクさん」が、チケットを買ってくる。
この先はすらばしかった。
見ごたえがあった。

「ひゃあ、こりゃなかなかいいアンベーるじゃ!」(^^)