エマージェンシーのこと【1/11】

  • 段取り

 いっぺんに酔いが醒めた。

「ひゃあ、やびゃあじゃ!」

アタマをくるくる回す。
段取りを考える。
さて、どーすっか?

「ひゃあ、最後にケータイ使ったのどこだったか覚えてるかね?」

 ホテルに着いてからは使ってにゃあらしい。
クルマの中が最後か・・・。
クルマの中だったら、まあ心配にゃあ。
でも、ホテルの中だったら・・・。
一応、最悪を想定しておいた方が良さそうじゃん。

「ひゃあ、まず電話止めとくべ!」

 急いで日本に電話。
手続きは簡単だった。
相手も慣れたモンだった。

「ひゃあ、結構そーいたのが多いんだんべな」

 次は「ラクさん」だ。
時計を見ると、夜中の1:00。

「ひゃあ、申し訳にゃあけんどしょんにゃあよな」

さすがに「ラクさん」眠そうだった。
むにゃむにゃしながら言った。

「クルマの中は明日の朝一番で探させます。
あと、今からホテルフロントに電話してみます・・・」

申し訳にゃあね・・・。

  • 捜索

 あと、出来る事は・・・。

「ひゃあ、自力で探すっきゃにゃあよな」

可能性を考える・・・。

「ひゃあ、もし落としたとしたらロビーかレストランだんべな」

 服を着替えてフロントへ。
2人ほど、スタッフが残ってた。

「ひゃあ、嫁さんのケータイがなくなっちまってよぉ。
もし落っことしたとすりゃあ、ロビーかレストランだと思うだよ。
ひゃあ、悪ぃけんど、ちょっと一緒に探してくいよぉ」

これを、身振り手振りで・・・。
何とか通じた。
火事場のバカぢから・・・。
 スタッフも一緒に探してくれた。
ロビーも隈なく歩った。
片付け中のレストランの中にも入れてくれた。
さっき座った席の周りも探した。

「ひゃあ、にゃあなあ・・・」

スタッフも気の毒そうではある。
明日の朝、一番で他のスタッフに確認すると言う。
それ以上、どーしょーもにゃあ。
礼を言って引き上げた・・・。