沼津っ子のこと【1/10】

  • すずっきーズ

 ツアーメンバーは4人。
我々キリギリス夫婦とすずっきーズ。
これにガイドのラクさん。
あとは日本語壊滅のドライバー。
この6人がオールキャストである。
 当然、移動はいつも一緒。
そりゃ、世間話もすべーじゃ。
狭ゃあ車内で、沈黙も何となく気まずい。

「ひゃあ、あんたたちゃどっから来ただね?」

なあ〜んて事も、訊きもすべーじゃ。
 彼女たちも話を合わせてくれたりすべーじゃ・・・。

「わたしたち、静岡なんですぅ〜」

ふう〜ん。

「静岡って、静岡市だかね・・・?」

ふつーはこう訊くべな。
 ところが、意外なことが・・・。

「いえ、わたしたち沼津なんですぅ〜」

ひゃあ、びっくり!

「っえ〜〜〜っ!我々も沼津なんだよぉ〜〜〜っ!」

「っえ〜〜〜っ!」
「うっそぉ〜〜〜っ!」
「しんじらんな〜〜いっ!」

大盛りあがり・・・。

  • イカズ・・・

 嫁さんがいじる。

「君たち、当然独身だよねー」

そりゃ、そーだべ・・・。

「でも、そんなにめっちゃ若くはないよねー」

更にいじる。
 すずっきーズはちょっと痛そう。

「親には、あきれられてます・・・」

2人とも親元から勤めに出てる。
何も不自由なく、働いて、遊んで・・・。
優雅な独身貴族。
そりゃ、辞めらんないよなー。
 嫁さんのいじりは続く。

「最近は多いよねー。今の若者の主流だよねー。
何も不自由ないし、ラクだし、遊べるし・・・。
海外旅行もガンガン行けるしねー」

2人とも苦笑するっきゃにゃあ。

「でも、そろそろ決断しないと大変だよー。
イカズゴケになっちゃうよー。
頑張って早く嫁に行けーっ!」

大きなお世話だっつーに。