珍しくもない本の雑感90

 【ヒンドゥー教とイスラム教】(2)

  • 対立

 著者は力説する。

「ひゃあ、誰もこの問題を掘り下げようとしにゃあっ!」

みんな、表面的・外観的にしか取り上げにゃあ。
確かにどの本にも書いてある。

    1. 北インドにおける【イスラム教の侵入・征服】
    2. ムガル帝国全期にわたる【イスラム教徒によるヒンドゥー教徒の支配】
    3. 印パ両国の分離独立は【ヒンドゥー教とイスラム教の宿命的な宗教対立】の結果
    4. 独立後の両国をめぐる紛争は【宗教戦争

これで済ます。
ま、面倒いんだべな・・・。
 著者は憤ってる。

「ひゃあ、そんな単純なモンじゃにゃあっ!」

何となくわかる。
この前に読んだ本の著者も言ってた。
山際素男」氏。
1929年生まれ。
この本の著者「荒 松雄」氏より8歳若ゃあ。
ま、誤差範囲内か・・・。
 いずれの著者も、一家言ある。
いかにもガンコそーじゃん。

「わが国では、ヒンドゥー教徒イスラム教徒の関係を、絶えざる緊張と対立の関係においてとらえようとする歴史解釈が行われてきた」

今でもそーかも・・・。

「ひゃあ、その方が説明がラクだんべ・・・」

  • 相違点

 著者は2つの宗教の比較をしてる。
かなり多くのページを割いてくれてる。
これが結構面白かった。
まずは、2つの宗教の相違点を洗い出してる。

    1. 神観念    多神教(Veda〜二大主宰神Visnu・Siva)と、唯一神教(Allah)
    2. 礼拝     偶像崇拝・神殿(mandir)と、偶像拒否・礼拝所(masjid)
    3. 教義教理  業(karman)・輪廻(samsara)転生と、定命(qadar)・最後の審判
    4. 経典     聖典(最古Rg Veda〜Brahmana Upanisad〜Purana〜Bhagavad Gita)と、コーラン(al-Qur'an)
    5. 聖職者   司祭者(Brahmana)〜バラモンと、聖職者否定・導師(ulama)顕在化
    6. 宗派     二大宗派(ヴィシュヌ・シヴァ派)不干渉と、後継者抗争(シーア派

 面白いっ!
これだけでも十分に読む価値があった。
言われてみりゃ、なるへっと思う。
並べてみるとでんでん違ぁ。

「こんだけ違う宗教が共存してる・・・?」

 そりゃ、説明が大変。
表面的な研究じゃ解明出来にゃあ。

「ひゃあ、本を書くっきゃにゃあべや!」

なるへ・・・。