珍しくもない本の雑感89

 【不可触民と現代インド】

 いんどは恐い。
あまりに恐い話ばっか、聞こえて来る。

「少し、真面目に情報をあつめるべっ!」

まず、積ん読在庫を調べた。
いくつか見っけた。
なかなか刺激的なタイトルが・・・。

【不可触民と現代インド】

 へ?
「フカショクミン」って何だべ?
興味が涌く。
読んでみたら意味はわかった。
でも、半信半疑。

「そんな、バナナ・・・」

って思っちゃう。
 著者は「山際素男」氏。
1929年生まれ。
ってえ事は、80歳になる。

「若っけえ衆が、チャラけて書いた本とは訳が違あら?」

って気がする。
三重県出身の、作家としか紹介されてなかった。
でも、間違いなく”いんどフェチ”!

  • シカト

 ”はじめに”ってえのがあった。
40年前の体験談。
著者は北インドに滞在してたそうな。
「パトナ大学」に留学。
「パトナ」ってえのは、落ち着いた地方都市。
「デリー」や「ムンバイ」みてゃあな大都市じゃにゃあ。
ホームステイだった。
 ある日、郊外にクルマで出掛けたそうな。
クルマは田園地帯を飛ばす。

「どすんっ!!!」

鈍い音とともに、ヒトが宙に舞った。

「行っちめえっ!」

案内のインド人は、そのまま立ち去ったそうな。
 著者は焦った。

「おいっ!ストップ!ストップ!」

運転手も、案内人もシカト。
著者は、案内人を問いただしたそうな。

「あんなひき逃げして、タダじゃ済まないぞっ!」

 案内人は涼しい顔で言ったそうな。

「ひいたのはまぎれもなく”アンタッチャブル(不可触民)”なんだから、
あんたもこの事は黙っていた方がいい」

事件は、まったく報道されなかった。
目撃者も沢山いたはず。
でも、警察もまったく動かなかったという。

「ひゃあ、ずいぶん強烈なイントロじゃんか!」