珍しくもない本の雑感88

 【国家の罠 −外務省のラスプーチンと呼ばれて−】(4)

  • 功績

 功罪相半ば。
「鈴木無念男」の外交での功績も有名。
ロシア通って話は良く聞いた。
「無念男」を信用してたロシア人は多かったらしい。

「そりゃ、外交だってベースはヒトとヒトの繋がりだんべなあ・・・・」

っとは思う。
 商社マンだって同じ。
外国で人間関係を作るのが仕事だんべ。
これ無しに商売なんか出来にゃあ。
その両方が、この事件に直結しちゃった。
見事にハマった。
 脇が甘いと言えば甘い。
でも、びみょー。
この人間関係無しには何も進まなかったべな。

「ひゃあ、仕事の出来るヤツほどハメ易いって事じゃんか!」

 思い当るフシがある。
この事件を境にロシア外交は変わった。
急に他人行儀になったような・・・。

「トカゲの尻尾と一緒に、ロシア外交を切り捨てた!」

って事なんだべな・・・。

  • 見直し

 実は「無念男」は素晴しい事もやってた。
時は1991年。
当時、おっさん外務政務次官をやってたそうな。
場所はリトアニア
この年、「バルト3国」が独立。
この3国との国交樹立の為に、おっさんが派遣されたそうな。
著者もこの時の団員に加えられた。

「在モスクワ日本大使館三等書記官」で、おっさんの「通訳権身辺世話係」

運命の出遭いだったそうな・・・。
 おっさんは感動してた。

「『カウナス』に、ユダヤ人6千人の命を救った
杉原千畝(チウネ)】という外交官がいたっ!
帰国後の日本では、訓令違反者として冷遇されてしまった。
何としても、この名誉を回復しちゃるっ!」

 おっさん、まずは杉原夫人を外務省に呼んだ。
んで謝罪。
外務本省は当惑したらしい。
いかにも、おっさんらしい・・・。
 更に、リトアニア大統領に掛け合った。

「【杉原千畝】の名誉回復を!」

大統領もオオモノだった。
「元カウナス領事館」は記念館になった。
首都「ビリニュス」に「スギハラ通り」が出来た。
著者も興奮したそうな。
 この話は、ユダヤ人団体では良く知られてるらしい。
「無念男」はイスラエルでも有名人だとか。

”「命のビザ」の【スギハラ】の名誉回復を果たした男”

 確かに、領事館跡は整備されてた。
我々も「命のビザ」に感動して、寄付もして来ちゃった。
市内に彫像も造られてた。

「ひゃあ、我々が観光出来たのも『無念男』のお陰だったんだ・・・」