帰国のこと【1/21】

  • 回想

 いい旅だった。
添乗員も良かったし、メンツも良かった。
確かに行程はしんどい。
山酔いもしんどい。

「この年齢でこんだけしんどいって事は、リタイア後に行くのはなかなかハードル高いなあ・・・」

って思っちゃう。
 但し、行く価値は十分あった。
こんなに印象に深い旅も初めてだった。

「ペルーって国の空気が五感で味わえた。
肌に感じる湿り気とか、汚れ具合とか、香りとか、光とか、音とか・・・。
現地に足を運ばなきゃ、絶対にわかんにゃあ!
異文化を身体中で体感出来た、思い出深い旅だったなあ・・・」

  • 小冊子

 帰国して数日後、郵便が届いた。
「ゆかりさん」からだった。
今回のツアーを小冊子にまとめてくれた。
時間、天気・気温、道程、食事のメニュー、等々・・・。

「旅の写真の整理等に、お役立て下さい・・・」

っとか・・・。
 有り難てゃあこってある。
実際、この冊子を見ながら日記を書いた。
ずいぶん助かった。
さすがにそんなに細かくメモを取ってなかった。
時間とか、気温とか、いー加減である。
何より、料理のメニューなんかほとんどわかんにゃあ。
「ゆかりさん」は舌が覚えてる。

「さすがっ!スペイン大好きニンゲンっ!」

 冊子の最後に挨拶があった。

「今回のツアーに御参加頂きまして
本当にありがとうございました!
 長時間の飛行機の旅、高山病を克服され、
そこで見た素晴しい風景、出会った人々、
現地の食事、そしてストライキ・・・。
 全てを含めて楽しく、美しい想い出に
残って頂けたなら、とても幸せです!
 また、お会いする日を楽しみにしております。
             『ゆかり』」

 まさに、その通り。

「あ〜、いい旅だったあ〜っ!」