マチュピチュ観光のこと【1/15】

  • 甲羅干し

 雨期の晴れ間。
強烈な陽射しと、乾いた風。
遺跡の石組みと、鮮やかな緑のコントラスト。
申し分ないコンディションだった。

「でも、暑っちいぜっ!」

 【居住区】の脇道に外れた。
庶民の家のテラスみてゃあな場所があった。

「こりゃいいっ!ちょっとひと休みしようでっ!」

石組みに腰を降ろす。
ペットボトルの水をひと口。

「あ〜〜っ!ビール飲みてえっ!」

 汗みどろの衣類を石塀の上に拡げた。
この陽射しである。
あっという間に乾いてく。
ついでに、ニンゲンも甲羅干し。
着てるアンダーシャツごと、乾かしちゃう・・・。

  • 【ビンガム・ロード】

 観光客はほとんど来にゃあ。
時々、通りかかるヒトもそばに来にゃあ。
まったくの死角って訳じゃにゃあ。
でも、こっちには来にゃあ。
寄って来にゃあ。
 きっと、ヒソヒソ・・・。

”何かホームレスみたいなのがいるわよ。”
”近寄らない方がいいわよ。触らぬカビにタダレなしって言うじゃない。”

ひんっ!
どうせ・・・。
 ところが、ここはビューポイントだった。
はるか下にヘアピンカーブが見える。

ハイラム・ビンガム・ロード】

遺跡の石組み越しの【ビンガム・ロード】

「いいじゃんっ!なかなか絵になるじゃんっ!」

思わずシャッターを切りたくなる。
 後からわかった。
ホテルの部屋に【マチュピチュ】写真集があった。
ペラペラとくくってた。

「あ!この写真って、まさにあのアングルじゃんっ!」

まったく同じ景色だった。
やっぱ、あそこはビューポイントだったんだ。
ひょっとして、思いっきし邪魔してた・・・?