ウルバンバ渓谷のこと【1/13】

  • セーター

 ショップは2軒あった。
1つは、良くある小物関係の土産物屋。
帽子、手袋、マフラー・・・。
置物、楽器・・・。
やっぱ、毛織物が中心。
店員がおまじないみたいに言う。

「ベビー・アルパカ、ベビー・アルパカ・・・」

 もう一軒は、ちょと趣が違った。
見るからにオリジナルもんが多かった。
帽子、セーターなんかもちょと違う。
何となく垢抜けてる。
ブチックみてゃあな…。
っかと言って、そんなにバカっ高い訳じゃにゃあ。
 ってんで、嫁さんが燃えた。
あれこれ物色。
ふと目が止まった。

「あ〜っ、こ〜れ可愛い〜いぃっ!」

見ると、ワンコ用のセーターだった。

  • 消えモノ

 確かに可愛い。
デザインがとってもアンデスチック!

”似合うかな・・・?”

「そら」が着てる姿を思い浮かべてしまう。
てんで、だらしがにゃあ・・・。
 我が家の土産の不文律。

【カタチの残るモノは一切買わないっ!】

ってはずだったべ?
っとか言いつつ、言い訳も考えてる。

”服は消耗品だから、いずれ消えてなくなるべ・・・”

てんで、だらしがにゃあ・・・。

「大きさは、これっくらいだんべ?」

もう、買う気マンマン。
バッカだねえ・・・。

  • 便乗

 もちろんニンゲン用も・・・。

「ここんち、デザインがオシャレなのよねー」

っとか何とか言いながら、目星をつけてる。
セーターと帽子をお買い上げ〜っ!
支払いはカードで・・・。
 嫁さん、ご満悦。
早速、翌日から身につけてる。
メンバーと情報交換しながら、品評会。

「あ〜ら、これ可愛いじゃな〜い!」
「あら、あなたの帽子もちょっとステキじゃな〜い!」

すぐ着るってのはいい事だ。
んでないと、一度も陽の目を見ない事もあるし・・・。