珍しくもない本の雑感84
【東京奇譚集】
- 次代
ここんとこ古典モノばっかし読んでた。
如何にメジャーな作品を読んでなかったか・・・。
もしくは、読んでも上っ面だけだったか・・・。
古典は新鮮だった。
どいつもこいつも、参ったって感じだった。
それに引きかえ、最近の作家は・・・?
なあ〜んてエラそうな事ぁ言うまい。
そりゃそれで、素晴しい作品を描く作家もいるべや。
- 技巧にたけ、感情の自由な流露を知性で統御しようとする傾向が強い。
- 一作ごとに語りくちを変え、趣向を凝らした。
- 文体も高雅に洗練され、明晰な知性のとらえた人生の諸相を、あるいは辛辣な批評をこめ、あるいは洒脱な機知をこめて描いた。
- 玲瓏(れいろう)と完成したぬきさしならぬ行間に、ふときざす情念のゆらぎがあり、日本人になつかしい抒情がただよう。
- 虚構の花の空間に、身をひそめた優しい花に龍之介の素顔も彷彿する。
っと評された作家たちの後を継ぐ作家・・・。
今んとこ、「村上春樹」だけだんべな・・・。
- 口直し
いつもの古本屋でたまたま見つけた。
「東京奇譚集」
ごく最近の村上作品である。
さすがにこれは、百円コーナーには置いてなかった。
2.5倍払って買って来た。
口直しってゆ〜かあ・・・。
読み較べみたいなモンである。
ハルキちゃんがどこまで対抗できてるか・・・?
作品は5編の短編集だった。
- 偶然の旅人
- ハナレイ・ベイ
- どこであれそれが見つかりそうな場所で
- 日々移動する腎臓のかたちをした石
- 品川猿
ど〜れ・・・!
- 馴染み
やっぱ馴染んだ作家である。
とっても読み易くて、すいすいと身体に入って来る。
サクッと読めて抵抗がない。
通勤の1往復で読み終わってしまった・・・。
ハルキ節もちょくちょく登場した。
”時間がたって、女の顔やプジョーの像が消えたあとでも、そのほくろのかたちだけはくっきりと残った。その小さな黒い点は、目を開けても目を閉じてもそこに浮かび、打ちそびれた句読点のようにひそやかに、しかし止むことなく彼の心を揺さぶった。”
”姉はピアノの蓋を開け、使い込まれて変色した鍵盤に指を置いた。
「あなたはゆくゆく、コンサート・ピアニストとして名を成すだろうと思っていたんだけど」
「音楽の世界というのは、神童の墓場なんだよ」
と彼はコーヒー豆を挽きながら言った。
・・・らしい・・・。
- 奇譚
ある面、イケてた。
龍之介大センセイを読んだ後だったけど、対抗出来てた。
非日常的な世界が当ったり前のようにある。
しかも全然違和感がない。
さすがと言うっきゃない。
個人的には「ハナレイ・ベイ」が気に入った。
今のこの国の象徴的な若者像と、ハルキワールドが上手く折り合ってた。
母、サチの強靭な精神力。
颯爽とした居振る舞いが小気味いい。
これも・・・らしい・・・。
思えば、今に始まった事じゃない。
「羊」、「世界の終り」、「カフカ」・・・。
みんな非日常の世界だった。
やっぱ、極めつけは「ねじまき鳥」だんべなあ・・・。
ハルキワールドのこっちの面ではダントツに思える。
”でも、たまには「ノルウェー」の世界に触れたいな・・・。”