セキュリティチェックのこと

 液体規制の次はセキュリティチェック。
トドだけじゃない。
ウシとか、カバとか、ごちゃごちゃいる。
どー見ても、半分は遊んでる・・・。

”こんなところで、どんだけ無駄な人件費使ってんだか・・・!”

 指示も一々細かい。

    1. 「荷物を1つずつプラ箱に入れろ」
    2. 「ケータイは小箱に入れろ」
    3. 「靴を脱いでビニールソックスを履け」
    4. 「クツは専用のプラ箱に入れろ」
    5. 「早く、先に進め」
    6. 「早く、自分の荷物を取れ」

これが又うざいっ!
だんだんイライラしてくる。
 つい、ボヤきたくなる。

「何だか、強制収容所みてえだな・・・?」

きっと、シベリヤに送られたヒトビトはこんなんだった・・・。
ムチとか、こん棒とかがないだけ・・・。

  • 抜き打ち

 想像も手伝って、不快指数120%。
しかも、さっきビールを一気飲みしたばっか・・・。
アタマに血が上り気味。
そこに、更に追い討ちが・・・。

「Openっ!」

は?
顔を上げると、無表情なカバがデイバックを指差してる。
抜き打ち検査らしい・・・。

「Openっ!」

 メートルが上がった。

「何で、オレのバッグなんだ?」

「Openっ!」

他にコトバを知らないらしい。
水牛の動きでゆっくりと中身を出した。
どうせ大したモンは入ってない。
 当然だけど、カバは中を見ようともしない。
とっとと、次の獲物に向かって行った。
ただ、キカイ的にやってるだけ・・・。
ムカムカしてきた。

”この、ゴクツブシどもがあ〜っ!”

プラ箱やら、ビニールソックスをそこいら中に放り投げた。

「バカヤロウっ!ふざけんじゃねえよっ!」

  • 勝負

 っふと、肩を叩かれた。
振り返ると、そこにバッファローが立ってた。

”ごっ、ごついっ!”

一瞬で酔いが醒めた。
バッファローは、投げ捨てたビニールソックスを指差した。
次にゴミ箱を指差した。

”ちゃんと、ゴミ箱に捨てろっ!”

って言いたいらしい。
 ってやんでいっ!
こちとら、沼津っ子でいっ!
いざ勝負っ!
なんか出来る訳がないべや・・・。
ハンパなでかさじゃない。

”人間発電所「ブルーノ・サンマルチノ」かっ?”

ってな体格だった・・・。
素直にビニールソックスを拾ってゴミ箱に入れた。
こんなところで”シベリヤ送り”になりたくないもんねえ〜っ!