「ネヴァ川クルーズ」のこと

  • 裁決

 「久美」さんが廻ってきた。
揺れるバスの中で移動しながら、希望を訊いてる。
カサカサと小声で、気ぃ遣ってんだ。
我々んとこにも来た。

「如何ですか?」
「両方行くのが一番いいじゃんっ!」
「そーなんですが、そこまで時間が無いんですね」
「そーなんだ・・・。せっかくだから我々は『ロシアの市場』を覘いてみたいけど、皆さんの大勢に従いますよ・・・」
「はい、わかりました・・・」

 裁決が下った。

「やはり『自由市場』に行きたい方がいらっしゃいましたので、スケジュール通りとさせていただきます」

う〜〜む・・・。
きっと、1人でも反対者がいたら予定通りにするつもりだったんだべな。
 後で、こっそり訊いてみた。

「ひょっとして、『自由市場』行きたいのって我々だけじゃなかったの・・・?」

「久美」さんにっこり笑っていわく。

「それはいいんです。元々の予定通りなんですから・・・」

やっぱし・・・。

  • 「クルーズ」

 今日はモノホンの晴天。
真っ青な北国の高〜い空が広がってる。

「最高じゃんっ!」

船乗り場は「フォンタンカ運河」にあった。
客は我々のツアーのみ。
貸し切りってヤツでんな・・・。
 船にはデッキ席と、キャビン席があった。
何ってったって、このピーカン。

「やっぱ、キャビンだしょっ!」

でも、デッキ席は20もない。
要介護軍団は40名。
半分はあぶれる。
この際、お年寄りに席は譲らない。
さりげなくデッキ席を確保。

”ま、お年寄りには川の風は毒だし・・・。”

勝手な理屈である。

  • 「夏の庭園」

 船はここから「ネヴァ川」に向かう。
「フォンタンカ運河」沿いにキレイな森が続く。

「これが『夏の庭園』だべや・・・」

ピョートル大帝」の命により1704年から造園開始。
1777年に今の庭園が完成したそうな。
 広さ12万?。
外国使臣の接待や、園遊会に使ってたとか。
今は市民の散策と憩いの場。
海外から取り寄せた樹木を使った豊かな森。
噴水や整然とした並木道。
点々と配置された大理石の彫刻。
「黄金の秋」はすらばしいそうな。
紅葉と、大理石の白のコントラストが何とも言えないらしい。

「歩いてみてえなあ〜・・・」

マーキング・ツアーだからねえ・・・。