モスクワの最後の晩餐のことⅤ

  • 金属ねーちゃん

 従業員の数は結構いた。
それが、揃いも揃って金属ねーちゃん。

「サービスって、ナニモノ?」

ってな雰囲気だった。
 笑顔なんてトンでもないっ!
元々の造作は悪くないのに・・・。
でも、あれが笑うと「シンクロの顔」になって気味が悪いかも・・・。
 ま、いずれにせよ無愛想。
奴らは間違いなく「給餌」と思ってる。

”うらうらうらっ!喰わしてやるから、有り難いと思えっ!おらおらおらっ!出されたら、とっとと喰えっ!とっとと片付けて、早く帰りてえんだからよおっ!ぐずぐずしてんじゃね〜よっ!”

聞こえてくる・・・。

  • 強奪

 ちょっとした事件が・・・。
隣から来た醤油が大活躍。
リタイア組ご夫婦にも差し上げた。
やっぱ、大層喜んだ。
スズキにかけて、残りは皿の端に載せてあった。
 すると、金属ねーちゃんが来た。
奥さまはナイフとフォークを持ったまま。
金属ねーちゃん、無表情のまま喰いかけの皿を強奪。
奥さま、ぽかん!
 このやろ〜っ!

「あれっ?もう下げて良かったんですか?」
「いえっ!あれっ?どーして・・・?」

慌てて、金属ねーちゃんを呼び止めた。

「NO!NO!NO!YETっ!」

残念ながら、「Нет」(ニェット)はとっさに出て来ない。

  • 仕事っ嫌ゃあ

 金属ねーちゃん、皿を戻した。
こっちを睨んでる。
そして、皿の端に載ってた醤油の小袋を取り上げた。
それをテーブルの上に置くと、指で押さえつけた。
小袋から醤油が出て、テーブルクロスにシミを作った。

「○×△=■○▽×◎っ!!!」

 何言ってんか、まったくわかんない。
でも、想像するにこれが紛らわしいとでも言いたいらしい。

「皿にゴミみたいなモン載せとくんじゃないわよっ!」

ってか・・・?
 ま、ニンゲン性の問題だべな。
BRICsの、BRICsたる由縁。
教育、躾けの問題だもん。
ロスケ魂、100まで忘れず・・・。
多分、100年後でもあんまり変わんないべな・・・。