モスクワの最後の晩餐のことⅢ

  • トップクラス

 ここんちのビールは高かった。
生ビールの”大”が180ルーブル(約900円)。
立派な値段じゃん。
今まででも、トップクラス。
 ま、時間はたっぷりある。
この後はトイレの心配も無い。
我が家は”大”ビール2丁のオーダー。
リタイア組夫婦のご主人がキヨブタみたいに仰る。

「今日はもうトイレの心配も無いし、ビール飲もうかな・・・」

奥さまも賛同。
かくして4人で乾杯出来る事になった。

  • 「ニチェヴォ」

 ここで「久美」さんの小冊子を思い出した。

「ニチェヴォ」(急いだってなるようにしかならないよ)

この精神を身につけなきゃ阿寒湖っ!
イライラしちゃいかんざきっ!
 それにしても遅いっ!
オーダーしてからゆうに30分以上経ってる。
もう全員に前菜が届いてる。
しかもビルツマにぴったしのシロモノ。
ひたすら待つ。

「こうなりゃ意地だっ!ぜってえ、この前菜でビール飲んでやるっ!」

 余所のテーブルは前菜の片付けが始まった。
ここんち、片付けだけは妙に早い。
我々のテーブルもチラチラと覗き込む。
”早く帰りたい根性”が見え見えっ!

”負けるモンかっ!”

  • 日本人

 ほぼ限界を超えた。

「もう限界っ!ビールはキャンセルして、喰おうかっ?」

余所のテーブルはメインディッシュが出始めてる。
「ニチェヴォ」だか、「サンチェヴォ」だか知らねえけどさっ!
いくら温厚な日本人でもキレるぜっ!
 っとか言ってったらビール登場。

「ホップから育てて、ここまで届けるにゃあ大変だったねえ〜っ!」

どうせ、通じやしないけど・・・。
 多分500mlだとは思う。
大ぶりのグラスに注がれて来た。
「ジョッキ」ってな感覚は無いんだんべな・・・。
ま、何でもいいやっ!

「カンパ〜イっ!」