スーパーマーケットのこと

  • 生活感

 どこに行ってもスーパーには行きたい。
ジモティが実際に買い物してる場所に行きたい。
そこの食文化や、物価や、いろんな情報が詰まってる。
買い物に来る、ジモティの生活の一端に触れられる。
何となく、生活感がある。
 ってえのと、もう1つは土産に便利。
どうせ気心知れたヒトビトへの土産である。
そんなに気取った包装なんか要らない。
むしろ何か面白いモンが見つかったりする。
 さすが「久美」さんはそのあたりも心得てた。

「これからホテルに戻りますが、ホテルの近くにスーパーがありますのでご希望の方はご案内します」

何せ、白夜である。
夜の9時、10時でもぜんぜん明るい。
要介護軍団の大半がスーパーに向かった。

  • ガイド業

 それにしても大変な職業だと思う。
よっぽど好きでなきゃ、出来ないべなあ・・・。
さっきのレストランでもモメゴトだらけ。
客はもちろんだけど、現地ガイドのご機嫌も伺いながら・・・。
 1人残された「久美」さんはカウンターで手持ち無沙汰だった。
トイレに行くついでに訊いてみた。

「ひょっとして、何も食べてないんじゃないの?」
「いえ、お先に奥の方で頂きましから、大丈夫です。はい・・・」

 嘘っぽ〜い。
とてもじゃないけど、まかないメシを用意出来る状態じゃないべ。
きっと、スーパーで何か買って来て晩メシにしてんだべ。

「つらい商売だよなあ〜・・・」

  • エキウエ

 スーパーは素晴らしいロケーションにあった。
地下鉄駅の真上。
勤め帰り風の客が多い。
多分、モスクワでも一等地の部類に入るんだべなあ・・・。
頬っ被りしたおばさんの買い物姿は望めそうもない。
 果たして、物価は決して安くなかった。
確かに我々が買うのは贅沢品・嗜好品のたぐいではある。
でも、肉も魚も安くない。

「こんな物価で生きて行けるんだべか?」

 いつも通り、ビールと水と食品を買い込んだ。
今回はチョコレートばっかし、どっさり買った。
ってゆ〜かあ、他に土産になりそうなモンが無い。
さすがに心配になって、嫁さんがホテルでチョコレートを試食。

「あ、意外に美味しいっ!もっと下品なチョコかと思ってた・・・」

失礼な・・・。