モスクワ郊外観光のことⅡ

  • 「ヴァラヴョーヴィの丘」

 ソ連時代は「レーニンの丘」と呼ばれてた。
他にもあっちこっちで街や施設の名前が変わってる。
時の権力者次第で名前が変わる・・・。
ある面、怖ろしい。
 どーでもいいけど、悪い予感ってえのは当る。
このモスクワ市内が一望出来る丘は、晴天が必須条件だべや。
バスを降りる頃には、ぶ厚い雲からポツリポツリ。
市内全体の景色ももやがかかってる。
完全にシロクロのモノトーン。
ほとんど山水画の様相である。

「あ〜あ・・・。何でこーかなあ・・・?多分、2度と来る事はないだろうに・・・」

 嫁さんはとっととバスに戻ってる。

「ま、しゃーないわね。外にいたって濡れるばっかじゃん・・・」

仰るとおりっ!

  • 「ノヴォデヴィチ修道院」

 ここも中に入れる訳じゃない。
公園の池越しに、遠景を眺めるだけの観光だった。
でもなかなか絵になる景色。
歴史の重みを感じさせる佇まいだった。
 16世紀初頭の建物で、12の望楼がある。
5つのドームを抱く「スモレンスク寺院」をはじめ、「クレムリン」に似ているそうな。
まさに「クレムリン(砦)」だったらしい。
タタール軍や、リトアニア軍との戦いの舞台にもなったそうな。
チェーホフ」や「フルシチョフ」の墓もあるとか・・・。
 どーでもいいけど、暗いっ!

「願わくば、光をっ!もっと光をっ!」

 聞こえたらしい・・・。
ぼたっ!ぼたっ!
音を立てて、大粒の雨が降り始めた。

”てんめえ〜・・・。”

  • ワンコ

 公園にワンコがたくさんいた。
ハスキーっくらいの大型犬ばっかし。
飼い犬なのか、野犬なのかよくわかんない。
でも、首輪をしてる様子はない。
う〜〜ん、びみょー。
 要介護軍団のメンツも足だけは丈夫。
1人のばーさんが、雨を避けようとバスに向かって走り出した。
途端に公園のワンコたちが一斉に集まって来た。

「おんっ!おんっ!」
「わんわんわんっ!わんわんわわんっ!」

すごい盛り上がり方である。
みんな尻尾振ってる。
きっと、遊び相手が来たと思ったんだべな・・・。
 ばーさん、卒倒寸前。
固まっちゃって、ちびりそうになってる。
しょーがねえなあ・・・。

「こらこらっ!あっち、いねっ!」

たちまちワンコは解散。
 ばーさん、半べそ状態。

「あたしゃ、犬が大ッ嫌いなのよお〜〜っ!」
「きっとワンコは遊んでもらえると思ったんですよ・・・」