珍しくもない本の雑感83

 【蜘蛛の糸・杜子春

  • 古典

 まだ「森鴎外」を引きずってる。
古典の領域から抜け出せない。
何とも言えない安心感。
時間とおカネを有効に使えたオトク感。
これは何にも替え難い。
 今度は「芥川龍之介
しかもあまりにも有名な「蜘蛛の糸・杜子春
多分、子どもの頃に絶対に一度は読んでる。
でも、もう一度読みたくなった。
今さらメタボオヤジが読むと、どう感じるか・・・。
 やっぱ読んで良かった。

”こいつも、すぎゃあっ!”

森鴎外」もすぎゃあけど、「芥川龍之介」もすぎゃあっ!
新技巧派という名で呼ばれたそうな。
恐らく誰も真似出来ないべな・・・。

  • 年少文学

 この本はそういうポリシーで作られてるそうな。
童話っていうか、ま、少年の為に書かれた作品を集めたとか・・・。

  1. 蜘蛛の糸
  2. 犬と笛
  3. 蜜柑
  4. 魔術
  5. 杜子春
  6. アグニの神
  7. トロッコ
  8. 仙人
  9. 猿蟹合戦

 解説者いわく。

  1. 技巧にたけ、感情の自由な流露を知性で統御しようとする傾向が強い。
  2. 一作ごとに語りくちを変え、趣向を凝らした。
  3. 文体も高雅に洗練され、明晰な知性のとらえた人生の諸相を、あるいは辛辣な批評をこめ、あるいは洒脱な機知をこめて描いた。
  4. 玲瓏(れいろう)と完成したぬきさしならぬ行間に、ふときざす情念のゆらぎがあり、日本人になつかしい抒情がただよう。
  5. 虚構の花の空間に、身をひそめた優しい花に龍之介の素顔も彷彿する。

仰るとおりっ!
過不足なく、言い尽くしてるって気がする。
菊池寛の評が面白い。

”人生を銀のピンセットで弄んでいる・・・。”

  • 気合い

 メタボオヤジは勢い込んでた。
最初の作品が「蜘蛛の糸」
あの、かの有名な・・・。
ワクワクする気持ちを抑えながら読み始めた。

”或る日の事でございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちを・・・”

 お〜〜〜っ!
これぞ・・・。
つい前のめりになって読む。

”極楽ももう午(ひる)に近くなったのでございましょう。”

 へっ?
もう終わり・・・?
たった5ページだった。
う〜〜〜む・・・。
やるなあ・・・。

 漱石が龍之介に手紙を宛てたそうな。

”勉強しますか。何か書きますか。・・・・・どうぞ偉くなって下さい。然し無暗にあせってはいけません。ただ牛のやうに図々しく進んで行くのが大事です。”

よっぽど買われてたんだべな・・・。
 でも、龍之介は牛になれなかった。
全速力で走った。
そして、燃え尽きてしまったそうな・・・。
不幸にして、幼少の時に母親と死別。
すぐに養子に出され、家族の愛情に触れる事が出来なかった。
 経済的に窮していなかったのが救いだったんだべ。
活字の世界に逃避できた。
幼少のころから国内国外の数多の作品を読み漁ってたそうな。
この生い立ちが、独特の作風を生んだんだべな・・・。

”よっしゃ!牛になるべっ!”