珍しくもない本の雑感78(5)

  【ちょっといやな話―寄せられた体験】

  • 北国

 「北国の春」ってな作品もあった。
北国は、北海道である。
懐かしいねえ・・・。
6年間の生活経験がある。
おまけに、衝動買いしたマンションもある・・・。
 北海道のイメージは悪くない。

大自然の中、牧場に牛がいて、白い雪の上をキタキツネがトコトコ歩き、ジャガイモやコーンの畑が広がり、そこに住む人は皆、知り合いで、絵に描いたように素朴に暮らしている・・・。

ま、こんなとこだしょ。
作者は、「北国の春」で何を連想するか・・・?
キレイ事じゃ済まないという。
うんうん・・・。
良くわかる・・・。

 雪はキレイ。
見てる分には、その通り。
でも、生活すると全然イメージが違う。

「北海道は、雪さえなきゃいいところだんべねえ〜」

なあ〜んて会話が日常チャメシ事。
 真冬は、毎日の雪かきがなかなかの重労働。
その、かいた雪の捨て場で近所とのモメゴトが絶えない。
ケンカになって、傷害事件まで起きる。
 酔っ払いは家に帰るのに命がけ。
滑って転んで、腕を骨折なんてのはザラ。
特に転勤し立ての、内地人は危ない。
 もっとヤバいのは行き倒れ・・・。
歩いて家に帰る途中で気持ちよくなっちゃう・・・。
毎年、何人か死人が出る。
ホントなんである。

 そして、待ちに待った春。
北海道中がワクワクした雰囲気になる。
雪が緩んで、木々が芽吹いて・・・。
でも、これが又クセモノ。
 溶けてシャーベット状になった雪の始末の悪さ。
ぐちゃぐちゃで革靴なんかで歩けない。
しかも滑るので、転倒者続出。
コケたら大変。
洋服はぐちゃぐちゃになる。
 更に、オマケがある。
北海道人はおおらかで知られてるべや。
実際、おおらかなんである。
しかも大の動物好き。
 ワンコなんか、一家に1頭。
街中に、散歩のワンコがあふれる。
ワンコは雪の中で用を足す。
そして、春は閉じ込められてたワンコの落し物が一斉に顔を出す。
ここで、コケた日にゃ、あ〜た・・・。

  • 笑い

 「井上ひさし」は前書きで言ってた。

「たのしい話、おもしろい話をちょっとひねって、いやな話にしてみてください。とにかく読む者を笑わせてください」

って、言うは易し。
行うは難し。
井上はひさし・・・。
 笑わせるってえのは、ホンットに難しい。
急激に難しい世の中になった。
ヘタに笑いを取ろうとすると、殴られたりする・・・。
時代が変わったんだべさ。
 ヤな話だったらいくらでも浮かんでくる。
多分、この1年を振り返っただけでも、本が1冊書ける気がする。
もう一度、「ちょっといやな話?」なんか募集しないべか・・・?
機関銃のように送ったるけど・・・。
 モノは考えようだんべな・・・。
自分が笑っちゃえば、OK牧場
ヒトの事なんか、知ったこっちゃないんである。
とにかく、自分は笑っちゃおう。
これに尽きるべな・・・。