珍しくもない本の雑感78(3)
【ちょっといやな話―寄せられた体験】
- 宅地開発
更に「優秀作」の「畑とバラ線」・・・。
自分的には、これが「最優秀作」だと思うけどなあ・・・。
舞台は、都市近郊・・・。
畑地帯に宅地開発が進むようになった。
良くありがちな、新旧住民の対立が起こりやすい状況。
でも、このヒトは偉かった。
農業を続け、新住民に積極的に声をかけた。
畑に入って遊ぶ子どもにも優しく諭した。
「畑の中で遊んではいけないよ」
”ま、都会の子は、畑も広場も区別がつかないんだべ・・・。”
何て、いいヒトなんだしょ!
- 作戦1
ところが、1人だけ一向にやめないガキがいたそうな。
そこで、そのガキの家に行って頼んだ。
「お子さんに注意してもらえませんか?」
その母親が言ったそうな。
「入るなという注意書きも何もないではないか!それでは教えようがない!」
このいいヒトは思った。
”そっか。都会の子どもにはそれっくらいの気配りが必要なのか・・・。”
早速、立て札を立てた。
ひらがなで「はたけのなかにはいらないでください」
- 作戦2
ま、予想通り、ガキは一向にやめない。
再び、母親に頼んだ。
「お宅のお子さん、まだ畑に入るんですよ・・・」
母親は言ったそうな。
「うちの子はまだ幼稚園ですから字が読めないんですよ。入られて困るんでしたら、周囲に囲いでもしたらどうですか?」
”あれっ?教えるんじゃなかったの・・・?”
っと思いつつも、ここでケンカしちゃ元も子もない。
”囲いって言っても、カネもかかるしなあ・・・。”
考えた末、このヒト畑の周りにバラ線を張ったそうな。
又、思うツボだべや・・・。
- 作戦3
ま、予想通り、ガキはケガをした。
そしてガキを連れて、両親がやってきた。
「あんな危ないものを張ったら、子どもがケガをすることは予測できたはずだ。これはお宅の過失なので治療費を出して欲しい」
さすがのいいヒトもキレた。
「その前に、子どもが畑を荒らした損害を払って下さい。そうしたら治療費を出しましょう」
ますます、思うツボ。
「損害を払えと言うなら、損害を証明する書類を出して下さい。そうしたら払いましょう」
そんな書類が揃う訳がない。
全て作戦通りである。
読んでて、だんだんムカムカしてきた。
まさに、作者の思うツボ・・・。
- 作戦4
両親は言ったそうな。
「書類はここに置いて行きます。治療費の支払いは後日で結構です。畑のバラ線は今日中に取り払って下さい」
もう、ハマっちゃった。
「ちょっと待って下さい。子どもが畑に入らなきゃケガもしなかったはずです。今後、畑に入らないようにお子さんに注意して下さい」
待ってましたっ!
「大体住宅の近くで畑を耕すことがおかしいっ!」
出たっ!
「この畑は先祖代々ここで耕してきたものです。あなた方が後から来たのではありませんか」
「来たからには、時代が変わったのだ。その変化を読み取ってもらわなきゃ困る」
「だからと言って、子どもが畑に入っていいという事にはなりません」
「それは認めよう。その代わり、今後、あの畑では一切農薬、堆肥の類いは使わないように・・・」
要はこれが言いたかった・・・。
- オプション
親子は勝ち誇ったように帰っていったそうな。
薄笑いを浮かべて・・・。
何だか、景色が想像出来ちゃう。
ありがちな、ホンットにありがちな景色だべさ。
このいいヒトは、シカトする事にした。
今まで通り、畑を耕して収穫時期を迎えたそうな。
ちょうどスイカのシーズン。
地域貢献の意味も込めて、畑の前で廉価即売したそうな。
これが美味くって、大評判になった。
ある日、例の一家がやって来たそうな。
「畑で商売するのは勝手だが、大勢ヒトが来てうるさいし、危なくて家を空ける事が出来ないと女房が言っている。場所を変えてもらいたい。
ところで、お宅のスイカは美味いと聞いたが、試食用に1個無料でくれないか」
完璧っ!